鉄道が登場する映画は海外でも「名作揃い」だ

「鉄」の視点であの名画を見てみると…

スイス国鉄の電気機関車Re6/6。「カサンドラ・クロス」に登場する列車はジュネーブから出発する(筆者撮影)

スイスのある国際保健機構に3人のテロリストが潜入し、誤って死亡率の強い病原菌に感染して、パリ・アムステルダム経由ストックホルム行きの国際列車へ乗り込んだ。拡大を恐れた当局はポーランドの廃止されたカサンドラ・クロス橋梁に誘導し、事件を闇に葬ろうと企む。さまざまな方法で救助を試みるが……。車内のパニックぶりや、死へ向かって走る電気機関車の迫力が凄い映画だった。

一方、この続編とでもいえそうな内容で、東西諜報機関の暗躍を描いた「アバランチエクスプレス」(原題 “Avalanche Express” 1979年・マーク・ロブソン監督)は、残念ながら列車シーンは模型が大半で迫力を欠いた。筆者は日本語版の監修をしている。

このほか、鉄道が大きな位置を占めているアクション作品としては「007・ロシアより愛をこめて」のオリエント急行車内でのジェームズ・ボンドとロシアのスパイの乱闘シーンなどが有名だ。黒澤明原案の「暴走機関車」(原題 “Runaway Train” 1985年・アンドレイ・コンチャロフスキー監督)は、途中降板の黒澤監督にとっては不本意な作品になっている。

珍しい車両を見られる楽しみも

サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒチコックの「バルカン超特急」(原題 ”The lady vanishes “ 1938年)は、ヒチコックが英国時代に製作した映画で、ロンドン行き国際列車が途中で雪崩に遭い立往生してしまう。乗客の泊まったホテルで殺人事件が発生し、列車は翌日出発するが、今度は老婦人が忽然と消えてしまう。ストーリーは言えないが、ほとんどセット撮影された客車はヒチコック好みに造ったという。英題は「消えた淑女」だ。

鉄道はメロドラマにもつきもの、人の出会いと別れは映画ならではの楽しみがある。「終着駅」(原題 “Stazione Termini” 1953年・ヴィットリオ・デ・シーカ監督)はローマ・テルミ二駅を舞台にアメリカ人中年夫人(ジェニファー・ジョーンズ)とイタリア人青年(モンゴメリー・クリフト)の束の間のローマの恋を描いたメロドラマ仕立て。駅構内で起こる二人の出来事がリアルタイムで進行するというドキュメンタリー風になっている。

鉄道マニアには当時の古い客車や電車、イタリアでよく見られたフランコ・クロスティ式と呼ばれるSL(煙突がボイラーの側面にあるのが特徴)も登場し、同時進行のストーリーと相まってワクワクさせられる。

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