ひとしきり放送が終わると、子供たちが普通車の方にバタバタとやってきた。どうやら車内放送に興味があるようで、次々とマイクで車掌さんごっこをしている。大好きなSLに乗れてテンションが上がっている様子が微笑ましい。静かな結婚式でじっとしているのは子供にとってはなかなか辛いが、この列車での結婚式は楽しくてしょうがないようだ。
嬉しそうなのは子どもたちだけではない。大人からも「SLに乗ったの初めて」「ほんとに楽しい!こういう結婚式、いいなあ」などの声が聞かれ、終始賑やかだった。みんなの笑顔を乗せたブライダルトレインは、17時近くに新金谷駅に到着した。
往復で違う機関車によって運転された今回のブライダルトレインはどうやって実現したのか。新郎新婦、そして企画担当で今回の添乗員も務めた日本旅行の山中章雄さん、大井川鐵道広報担当の山本豊福さんにそれぞれお話を聞いた。
C56形44号機は思い出の機関車
――ブライダルトレイン、素晴らしかったです!ご本人達はいかがでしたか?
新婦「あっという間でした!自分たちでやらなくてはならない細かいことも多くて本当に大変でしたが、来る人が楽しめるようにすごく考えました」
新郎「下見には4、5回来ましたね。時間配分とか、タイミングとか、ヘルメットかぶって車内で予行演習をやらせていただいたりとか」
――確かに参列した方々は、口々に「楽しい」とおっしゃっていました。お二人だからこそ、この式ができた、とのご意見も聞きました。そもそもお二人がブライダルトレインにしたきっかけは?
新郎「ぼくが鉄道ファンで、最初は馴染みのある遠州鉄道を貸切にしようと考えていたんです。大井川鐵道へはブライダルプランがあると聞き、見に来てみたところ、彼女がSLを気に入って、こちらに決めました」
新婦「5歳くらいの時に鉄道好きの叔父さんに連れられて、大井川鐵道のSLに乗った記憶を鮮明に覚えていて、これだ!と」
新郎「二人で見に来て乗ったSLがC56形44号機だったんです。なのでブライダルトレインはぜひこの機関車で、と思っていました」
ここで疑問が一つ。確かに復路はC56形44号機が牽引していたが、なぜ往路はC11形190号機だったのだろう?そこで、日本旅行の山中さんに理由を伺った。
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