「シエンタ」と「フリード」が接戦を続ける理由 トヨタとホンダの小型ミニバンは何が違うか

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フリードはモビリオよりも室内スペースを広げるとともに、外観も当時の多くのミニバンが採用していた、ボンネットとフロントウインドーの段差がほとんどないモノフォルムにスイッチした。「ちょうどいい」というキャッチコピーともども注目を集め、ヒットした。

キューブは同じ2008年、フリード登場の直前に現行型にモデルチェンジしているが、キューブキュービックは消滅している。日産にとっては、このクラスの3列シート車は売れないという判断だったのかもしれない。シエンタもフリードの好調をよそに低迷。そのため2010年、販売を終了した。対するフリードは翌年、5ナンバーミニバン初のハイブリッドシステムを投入。独走態勢に入った。

2代目シエンタが大胆なデザインで登場

ところが同じ2011年、一度は生産を終了したシエンタが復活する。トヨタのコンパクトな7人乗りミニバンを欲する顧客が一定数いたためだった。このあたりは、「ハリアー」や「エスティマ」など根強いファンを持った車種に通じるところがある。

となれば、トヨタがシエンタのモデルチェンジを視野に入れるのは当然だろう。まもなく新型車の開発が始まり、2015年に12年ぶりのモデルチェンジを実施した。

2代目はかなり大胆なデザインで登場した。トレッキングシューズにヒントを得たという外観は、フロント/リアまわりにプロテクターをイメージしたラインが入り、ブルーやブラウンでそのラインを強調することができた。ボディカラーも明るいイエローやグリーンなど鮮烈なものが多かった。

シエンタのデザイナーに聞いたところ、ターゲットユーザーの年齢層は旧型と変わらないものの、同じ年齢層であっても志向性が異なってきており、以前よりも主張の強いデザインを志向する人が多いという答えが返ってきた。入念なマーケティング調査の結果だったのである。メカニズムでは、フリード人気の理由のひとつだったハイブリッド車を、アクアのメカニズムを用いることでラインナップに加えた。

トヨタの狙いは正しかった。発売1カ月後の受注台数はなんと月販目標の7倍、5万台近くに達し、フリードからこのジャンルの主役の座を奪ったのだ。その後も販売台数ベスト10の常連であり続けている。

この状況を見てホンダが面白くないと思ったのは当然だろう。シエンタの翌年、フリードもモデルチェンジで2代目に切り替わった。

現行フリードについては発表時に「ホンダ『新型フリード』はどう進化したのか」(2016年9月16日配信)でも解説したが、実車を見てまず感じたのは、正統派ミニバンという言葉が浮かぶ、バランスのよいスタイリングだった。大胆なシエンタとは対照的だ。

メカニズムは、ハイブリッド車を現行フィットと同じ新世代パワートレインに切り替えることで、JC08モード燃費は27.2km/Lとシエンタに並んだ。しかもシエンタにはないハイブリッドと4WDの組み合わせも用意した。

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