銀行は、もはや「消費者金融」になっている 新たに危うい顧客層も取り込んで…

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そもそも、貸し出しを行うには貸金業者よりも銀行の方が有利だ。低利の預金で資金を調達できるため貸出金利も安く設定できるし、借り入れ人の銀行口座の情報を握っているのでお金の出入りが把握しやすい。借りる側にとっても、借り入れが家族にバレても、銀行ならば聞こえが悪くない。最近ではネット上で貸し手を横比較できるようになったため、銀行の低金利が目に留まりやすくなった。

加えて、2006年の貸金業法改正で、銀行がますます有利になった。貸金業者は個人の年収の3分の1までしか貸せないと定められたが、銀行は適用外なのだ。少なくとも規制上は銀行の消費者ローン貸出額は青天井だ。年収がゼロの主婦層に対しても銀行なら貸せる。このため、消費者ローン業務をグループの貸金業子会社から銀行本体に移したグループもある。

狙いは中高齢・中高所得者、破綻から"復活"も?

では、いったいどんな人が銀行の消費者ローンを借りているのか。

顧客属性の内訳を開示している新生銀行のデータによれば、年齢別で一番割合が大きいのは貸金業者と同じく20~30代の若年層である。これらは合わせて5割を占める。しかし近年伸びているのは、むしろ、中高齢層・中高所得者層だ。50歳以上の人に対する貸し出しは全体の2割強を占めるに過ぎないが、年率30%のペースで急増している。年収でみても、500万円以上の中高所得顧客への貸し出しがやはり年率30%以上増加している。貸金業者にはこれほどの増加率の偏りはみられない。

なぜ、銀行では、中高所得層・中高年齢層への貸出が増えているのか。考えられる要因の1つは、「医療費」の増加である。日本貸金業協会による借り入れ理由のアンケート調査では、長年「レジャー」「食費」「住居費」が不動のトップ3を占めている。ところが、最近大きく順位を上げているのは「医療費」だ。2016年の調査では前年の第10位から5位に躍り出た。借り手は、やはり若年層よりは中高年齢層に多いとみられる。

もう1つの要因は、過去借り入れがあった人の"復活"だ。借金が返せなくなった人でも、貸し倒れから5年経つと貸し倒れの記録が抹消され、再び消費者ローン“適格者”になる。過払い金請求の記録については他社と共有されないため、過払い先と無関係の銀行なら、請求した翌日からでも貸してくれる。

2011年以前の貸金業者の顧客が舞い戻り、浄化された借り入れ履歴と、当時よりは増えているであろう給与を裏付けに、今度は銀行から借りるという中高齢者層が、銀行の消費者ローンの成長を下支えしていると思われる。

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