アマゾンらが巻き起こす「家事革命」の凄み CESでも最新家電が大人気のワケ

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一方、日本で愛される家電は“高クオリティー”に仕上げてくれるものだ。冷蔵庫に求めるのは音声認識機能なんかじゃなく、鮮度が落ちない野菜室や、解凍せずに食材を切れる冷凍室なのだ。炊飯器だって、コメが自動発注されるものより、土鍋でふっくら炊いたような仕上がりに惹かれるし、何より備蓄をデータで管理されるより、自分でやりくりしたいという人が多い。家電で経済発展を遂げてきた日本から、ルンバが生まれなかった一因には、こうした背景もあるだろう。

「手放せない」日本人

「日本の消費者はかなり特徴的」

米国在住の投資家でIoTに詳しいスクラムベンチャーズ代表の宮田拓弥さんが分析するように、欧米と日本には、こうした家事文化の違いがある。

宮田さんは「将来は消耗品の補充が必要なすべてのデバイスにダッシュリプレニッシュメントが搭載されるようになる」と予測するが、日本向けには、再発注の際にいくつか選択肢を設けるなどのアレンジが必要なのでは、と見る。日本の消費者は、家事を自分の手に残しておきたいという気持ちが強いのだ。

記事中で紹介したデバイスはAI技術の賜物だ。しかし一方で、アマゾンはさらにその先まで見据えている。いま本拠地の米国で最も力を入れているといわれるのが「Amazon Home&Business Services(アマゾン ホームアンドビジネス サービス)」だ。部屋の掃除など一般的な家事代行からバスケットゴールの組み立てなど米国らしいものまで幅広いサービスがある。テクノロジーではなく、「人」の力で家事を助けるのがポイントだ。

「アマゾンが蓄積してきたビッグデータをオンラインやAIなどバーチャルではなく、リアルにも活用しているのが肝。日本的にいえばサザエさんに登場する三河屋のサブちゃんが『こんなこと困っているでしょう? あれもついでに持ってきましたよ』というイメージ。ウェブ上のレコメンド機能のようなことが現実でもできるようになるのではないでしょうか」(宮田さん)

アマゾンが見るのはテクノロジーから出発し人によるサービスを補完して、家事から永久解放される未来。だが、日本には家事に対する「高関与」文化が根強く残る。この“黒船”襲来が、私たちの家事観にどんな変化をもたらしていくのだろうか。

(編集部:竹下郁子)

※AERA 2017年2月13日号

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