アマゾンらが巻き起こす「家事革命」の凄み CESでも最新家電が大人気のワケ
乾燥機NGの洋服は買わない。昼食はコンビニのおにぎりやカップ麺で済まそう(低関与)、その代わりに週末のディナーはじっくり時間もおカネもかけよう(高関与)、という具合だ。
「家の中」の技術革新
そんな私たちの価値観の変化を後押しするように、アマゾンをはじめ、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック……世界をリードする企業が競って「家の中」でイノベーションを起こそうとしている。特に注目されるのが前述した音声コマンド「アレクサ」だ。冒頭のCESでは冷蔵庫のほか、声で作動する洗濯機やテレビなどアレクサを塔載した700もの製品が発表され、家電を声で操作する時代の到来を印象づけた。音声コマンドは前出の企業をはじめ、日本でもLINE、ヤフーとソフトバンクなどが開発中だが、アマゾンが一頭地を抜くのは、アレクサを公開して企業に提供していることだ。iPhoneが他社制作のアプリによって急成長を遂げたように、アレクサには今も日々新しい機能が生まれ続けている。
アレクサの機能をシンプルな筒型デバイスに閉じ込めたのが「Amazon Echo(アマゾン エコー)」だ。寝室、リビング、玄関など部屋ごとに置いている人も多いそうだが、最も利用率が高いのがキッチンだという。食材の注文はもちろん、タイマーをセットしたり、レシピを読み上げてもらったり、手がふさがりがちな料理中もアシストしてくれる。調査によれば、最近は女性の購入者が増えており、IT機器に不慣れな50代以上にも支持されている。もはや音声アシスタント非対応家電=アマゾン非対応家電は売れなくなるとさえ言われている。
エコーは日本でも年内に発売されると噂される。しかし前出の成毛さんは、iPhoneのSiriのような音声アシスタント機能が日常になじんでいない日本で普及するのか疑問視する。
そもそも日本の家電は海外のそれとは異なる発展の仕方をしてきた。アマゾンダッシュボタン担当ディレクターのダニエル・ラウシュさんは、開発の目的を「顧客の手間や時間を省くこと」だと言い切る。確かにダッシュボタンもアレクサを搭載した家電もすべて“家事からの解放”、つまり時間の短縮や効率化を目指しているように見える。