慰安婦問題は韓国の理性なき民族主義を煽る 台湾人から見た近隣国の大きな「誤り」は何か

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台湾の商業銀行大手3行、つまり彰化、華南、第一の各行は、いずれも100年の歴史を持つ老舗。老舗のブランドは信用の保証だ。ところが、韓国の銀行は合併・改名を繰り返し、私が韓国に留学していた1980年代の多くの銀行は、現在ではもう名前がなくなった。それに代わって私が聞くのは、以前は聞いたことのない「国民」、「ウリ」(われわれという意味の韓国語)、「ハナ」(1つという意味)といった銀行名である。

変わりやすく、しかも変わり方が非常に早い。これが外国人にとって韓国人を信用しづらい主要な原因になっている。2009年に私は、ある韓国の銀行が台湾に派遣してきた先遣隊の銀行員2人にレクチャーし、「台湾人の韓国観」を分析してみせたことがある。彼らは台湾にまず支店を開設した後、中国大陸の巨大市場を開拓することを希望していた。だが、私の分析を聞いた後、間もなく彼らは台湾から撤退していった。

以上は私が自ら経験した事例である。ここで再び日韓の怨恨の問題に話を戻そう。慰安婦問題の本当の根源は、日本帝国による朝鮮の植民地統治にある。もし、さらに歴史を遡るならば、「日韓併合」(1910年)は両国が正式に調印した条約に基づくものだが、強制的に調印させられた不平等条約と主張できるかもしれない。が、それから半世紀後の日韓基本条約においては、自ら請求権を放棄したことを否定できないだろう。

日韓基本条約で請求権は放棄済み

この問題全体のカギは過去の朴正熙政権にある。彼は1961年、国軍の一介の少将から政変を起こして政権を掌握したが、カネがなければ政治はできない。急いでカネが必要という状況の下、早急に日本と国交を樹立し、日本側から賠償金を獲得することを望んだ。

さらに北朝鮮という存在も考慮。個人の請求権を放棄したのである。このことは理解可能な理由であり、しかも韓国人自身の問題だ。それを50年後、「敵国をつくりだす」ため、そして国民の愛国主義を鼓舞するため、慰安婦問題を繰り返し持ち出すことは、道理に反している。

もう1つ、個人的な経験から述べたい。

前述のように私は1980年代初めに韓国に留学した。当時は、全斗煥氏が1979年にクーデターで政権を掌握し、間もなかった。彼も朴正熙氏と同じように急いでカネを作る必要から、日本を再び”ATM”(自動現金預払機)として利用。全大統領は盧信永国務総理(首相)を日本に派遣し借款交渉を行った。最初に提示した金額は100億ドル、当時のレートで約1兆円だが、これは日本を驚かせた。当時の借款の理由は「韓国は共産勢力の日本への脅威に対抗する第一線に立っている。だから日本が防衛費用を分担するのは当然」というものだったからだ。

その後は40億ドルでこの借款の話がまとまったが、うち、いくらが全氏個人のポケットに入ったのかは、私が好奇心を持ち続けているミステリーだ。このように国交樹立の際、自分の政府が放棄した請求権を50年後にもなって再び激しく追求するというのは、韓国人を信用できないことを証明することになっていないだろうか。

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