アスレジャー人気にすがる、米百貨店の苦境 JCペニーとナイキ、提携の背景
JCペニーの最高経営責任者(CEO)マービン・エリソン氏は、2016年11月に行われた収支報告で、「明確な差別化とセフォラの継続的な成功のおかげで、業界をリードする魅力的な高級ブランドを取り入れ、商品提供の幅を広げられた」と語った。たとえば、あなたがメイシーズに足を運んでも、セフォラの商品が安定して提供されているわけではないのだ。
JCペニーは、ナイキとの提携でこの成功方程式の再現をめざしているが、それは、アクティブウェアの人気を利用しようとする動きだ。ほかのデパート店も、そうしたトレンドに大きく賭けている。アスレジャー(アスレチック[競技]とレジャー[余暇]を掛け合わせた造語。スポーツジムやヨガスタジオで着るスポーツウェアを普段着として着用するファッションスタイル)は、いまなおアパレル市場を掌握しており、あらゆるデパートがこのトレンドに引き寄せられているのだ。
コールズはアンダーアーマーと提携を結び、同社の製品を2017年から店舗で販売しはじめた。2016年10月には、ニーマン・マーカスが新たなアクティブラインをローンチし、同デパートの顧客がストリートウェアに使っているおカネをつかむべく、「フェンティープーマ・バイ・リアーナ」や「コモンプロジェクツ」などのブランドをセレクションに加えた。同様にバーグドルフ・グッドマンでも、「キス」や「フェンティープーマ」の販売が開始された。
「以前であれば人々は、最新の流行を知るために小売店やデパートに足を運んでいた。それがいまや、流行の影響力はさまざまな方向に無数に散らばっている」と語るのは、エージェンシーのレイザーフィッシュでコマースストラテジー部門のバイスプレジデントを務めるスティーブ・ホワイト氏だ。「この状況を乗り切ろうとする量販店は悪戦苦闘している――大型船の舵を取っているようなものだ」。
苦境を打破するために
JCペニーは、メイシーズやノードストローム、コールズなどのライバルたちとともに、2016年の年末商戦で悪夢を見た。JCペニーの11月と12月の既存店売上高は0.8%の下落だった。
いまのデパート各社には、正攻法にこだわっている余裕はない。先細る売上に立ち向かうために、デパート各社はいま、実験的店舗はもちろん、ブランド提携にも工夫を凝らしている。ニーマン・マーカスは、デザイナードレスやアクセサリーのレンタルサービスを手がける「レント・ザ・ランウェイ」のショップをサンフランシスコ店舗内にはじめてオープンした。レンタルアイテムの循環サイクルがもたらす高級ファションの購入増加を狙ってのことだ。