相次ぐ強敵、競争にさらされる「ドイツ鉄道」 同業他社の参入や長距離バス規制緩和・・・

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高速新線NBSを300キロで走るドイツ鉄道の高速列車ICE3(筆者撮影)

日本よりやや小さい35.7万平方キロメートルの国土に、約8177万人(2015年)の人口を擁するドイツ。GDPではヨーロッパ第一位を誇る経済大国で、EUにおける中心的存在だ。さまざまな点でライバルとされるフランスと比べて国土の面積は小さいものの、人口では上回っており、さらに首都パリに人口が一極集中するフランスとは逆に、数十万規模の都市が多数点在しているのが大きな特徴だ。

たとえばフランスは、首都パリ都市圏の人口が1216万人を超えているが、2番目の都市であるリヨンは214万人と一気に規模が小さくなる。ところがドイツの場合は、首都ベルリンが337万人と、パリの約3分の1の人口規模である一方、2位のハンブルクは173万人、3位のミュンヘンは138万人、4位のケルンは102万人と、それほど大きな差がない。100万人規模の都市はこの4都市以外にはなく、いかに人口が国土全体に満遍なく広がっているかが分かる。

これが、ドイツの鉄道網が網の目のように広がり、都市間特急が等間隔でネットワークする基礎を築き上げたと言っても良いだろう。パリを中心として放射状に路線が延びるフランスとは、まさに対称的だ。

東西再統一で鉄道も統合

ドイツの鉄道の歴史は、1835年にニュルンベルクの近郊で約6キロの路線が開業したのが始まりだ。第二次大戦後の東西分断で、鉄道も西ドイツの「ドイツ連邦鉄道(DB)」と東ドイツの「ドイツ国鉄(DR)」に分割されたものの、1989年のベルリンの壁崩壊、翌年のドイツ再統一と時代が移り変わる中、両鉄道も1994年に再統一され、国が全株式を保有するドイツ鉄道(DBAG)が設立された。2013年時点で3万3295キロの路線網を有し、1万9873キロが電化されている。

ドイツ鉄道の発足後、輸送部門とインフラ部門が上下分離されるとともに、これまで各国の国鉄が独占して握っていた鉄道インフラを市場へ開放し、官民問わず新規参入を認めるオープンアクセス法も施行された。

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