トランプの不法移民対策は「壁」にぶち当たる 彼らをどこに収容するのか?
長期的には、メキシコから申請できるよう同国に要請することもあり得るが、メキシコ国境沿いに建設する壁の費用を同国に払わせるとトランプ大統領が宣言したせいで、2国間関係は現在かなり悪化している。
移民を保護している団体の責任者であるガルシア氏は、もしトランプ大統領が家族向けの収容所を数千カ所開設することに最終的に成功するならば、移民の流入ペースは減速するだろうと認めている。
「閉じ込められて飛行機に乗せられる可能性が高くなったといううわさが広まるだろう」とガルシア氏。中央アメリカ出身者は通常、飛行機で本国に送還される。
「自首」が増加
米当局に「自首」する移民の数はテキサス州マッカレン周辺で最も多い一方、とりわけメキシコと国境を接するエルパソで急増しているのが目立つ。ここでは、昨年10─12月に捕らえられた移民の6割は子どもか家族だった。
近年、移民の流入がそれほど多かったわけではなかったエルパソだが、昨年10─12月には5200家族が捕らえられた。これは前年同期と比べて3倍近く増加したことになる。また、保護者を伴わない子どもの移民は1972人に上り、倍増している。
エルパソから同じくテキサス州のトーニローを越えた辺りまで約65キロに及ぶ、高く赤褐色のフェンス沿いでは、米国境警備員のホセ・ロメオ氏がそのような傾向を目の当たりにしている。
「現在、米国に渡ろうとする多くは家族で、自ら捕まろうと警備員を探している」とロメオ氏は話す。かつては見つからないようにしている移民がもっといたが、今では「彼らは捕まりたいと考えている」と同氏は語る。
2010年に完成したフェンスは、テキサス側ではピーカンナッツ畑と灌がい用水路の近くで、リオグランデ川を挟んだメキシコ側では麻薬戦争で荒れ果てたバジェ・デ・フアレスで突然途切れる。
昨年2月、メキシコのペニャニエト大統領と米オバマ政権のプリツカー商務長官は、2国間貿易の促進を期待してテキサス州トーニローとメキシコのグアダルーペの間に新たに主要な検問所を開設した。
昨年11月時点では、この橋の交通量は依然として少なかった。
代わりにICEは、周辺地域で急増する米当局者に捕らえられた移民家族の手続きを促進すべく、橋の米国側のアスファルトの上に500カ所の白テントを設けて一時的な収容所としている。
(Frank Jack Daniel記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら