「道路と線路を走れる車両」、実現に向け前進 「年内にも車両製作」徳島県知事が発言
地方交通の切り札として一時期全国で注目を集めた「夢の乗り物」がついに実現するか――。徳島県の飯泉嘉門知事は1月4日に開かれた年頭の記者会見で、鉄道と道路の両方を走れる車両「DMV(デュアル・モード・ビークル)」の運行実現に向け、「年内にも車両製作の発注に取りかかりたい」と発言した。
DMVの導入が計画されているのは、同県南部と高知県東部を走る第三セクター鉄道・阿佐海岸鉄道阿佐東線。すでに導入推進のための協議会は発足しており、飯泉知事は車両製作の発注とともに「実用化に向けたタイムスケジュールも決定したい」「(実用化は)5年以内、あるいはもっと早いのではないかとも思っている」と述べた。
各地で実証運行・・・でも実用化の例はなし
DMVは、鉄道と道路の両方を走ることができる新たな交通システムとしてJR北海道が2004年に試験車両を開発。国土交通省によると、これまでに阿佐東線を含む全国の計7カ所で実証運行などが行われた。2015年10月には、DMVに関する国交省の技術評価委員会が一定の条件下であれば技術的に問題ないとの中間取りまとめを公表したものの、いまだ実用化の例はなく、JR北海道もすでに事業化を断念している。
だがここに来て、阿佐東線で実現の気運が急速に高まっている。
徳島県は、かなり前からDMVに着目していたようだ。同県次世代交通課によると、現在4期目を務める飯泉知事が就任した当初、当時のJR四国社長からJR北海道がDMVを開発しているとの話を聞き、実際に北海道に視察に訪れたことが最初のきっかけだという。
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