“一匹狼"から路線変更、ホンダの本音 GMとの燃料電池車の技術提携、キーマンが語る裏側

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ホンダは新技術開発などで共同開発・提携の門戸を閉ざしていたことはない。交流をする中でお互いに技術レベルが同等であることが分かり、またGMは米国でリーダー的な存在でもあることから提携した。今回、よりハイレベルでの技術提携をすることで、2社がFCEV普及というゴールに近づけると考えている。提携に迷いはなかった。

水素スタンドとホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」

提携の内容は、燃料電池(FC)スタック<※水素と酸素を反応させて電気を作る部品で、FCEVの最重要部品>と水素充填装置(水素タンク)の開発。それぞれがもつFCEVの関連技術はすべて相互に公開し、開発人員や費用を半々ずつ負担する。ホンダとして従来のFCEVの開発リソースを削減することはない。単純にいえば提携でリソースが2倍になるということだ。

自動車の商品化は「現在は白紙」

6月に正式に提携契約を結び、現在は、互いの「ネタ」をすべてテーブルに出し、2020年の実用化時点でターゲットとするFCスタックの出力や大きさ、コストについて議論を始めたところだ。ターゲットが決まったら、具体的な開発分野の担当を負担のバランスも考えながら決めることになる。自動車としてどう商品化するかについては現在は白紙。長い開発提携の間にどこかで議論することにはなるだろう。

今回の提携は2社間の合意であり、第三者が加わることについては、あえて排除するものではないが、想定はしていない。

FCEVのエンジニアは霧の中を走っているようなもの。だが、GMと組んだことで方向性が間違っていないことが分かり、ネガティブなストレスは減る。足元は、HEVが化石燃料の消費を減らすために普及させるべき技術だ。しかし、化石燃料を消費しない自動車の普及は、遠いかもしれないが目指すべき未来だ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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