三菱自「アウトランダーPHEV」意外な健闘 リコール問題後の販売最前線を追う
充電したモーターだけで走る電気自動車(EV)としても、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)としても使えるプラグインハイブリッド車(PHV)。「プリウスPHV」で先行したトヨタ自動車に続く量産車となったのが、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」(=タイトル下写真=)である。
新型エコカーとして今年(2013年)初めに日本国内で発売。昨年11月からの予約も併せて、今年3月までに当初計画の2倍程度となる約8000台を受注するなど、順調な滑り出しを見せたものの、リチウムイオン電池の一部が熱で溶ける不具合が発覚したことで、6月にリコール(回収・修理)対象となり、その前後では生産・出荷も止まってしまった。
ブランドイメージの低下が懸念されたが…
三菱自は昨年末から今年はじめにかけて、別車種でのリコール対応をめぐって国土交通省から厳重注意や立ち入り検査などを受けており、期待のアウトランダーPHEVも重なる品質問題を受けたブランドイメージの低下による、販売面での不振が懸念された。
だが、三菱自は意外にも踏ん張っている。「(アウトランダーPHEV)は現在、国内で3200台、海外ではオランダを中心に1万5000台の受注残がある」。三菱自の益子修社長は言う。国内ではすでに販売済みの約4300台と併せると、大量のキャンセルは出なかったとみられる。海外向けは堅調だ。
実は三菱自は、生産を受け持つ岡崎工場(愛知県岡崎市)におけるアウトランダーPHEVの月産能力を、現行の2000台から10月までに4000台まで倍増させる。欧州への輸出も年内に開始する。むしろ、「日本と海外でタマの取り合いになっている」(服部利彦・国内営業統括部門長)ほど。海外は当面、欧州向けが中心となるため、引き合いのある米国向けについて、「今年度はできない。来年度も厳しいだろう」(益子社長)という“嬉しい悲鳴”も上がっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら