三菱自「アウトランダーPHEV」意外な健闘 リコール問題後の販売最前線を追う

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今回の不具合は電池の製造元であるリチウムエナジージャパン(LEJ)の作業員が誤って電池を落とし変形させたことが原因と判明。6月4日には国土交通省にリコール届け出を行い、販売した4313台が対象となった。

商品性とリコール対応に一定の評価

こうした大きな問題を生じさせながらも、販売面で踏ん張っている背景には2つの要因がありそうだ。一つはアウトランダーPHEVの商品性。もう一つは、品質問題への三菱自の対応である。

ベースとなるアウトランダーは、エンジン排気量2000cc級の中型SUV(スポーツ多目的車)に位置づけられる。腰高のスタイルで車高や座面も高く、悪路走破性が特徴の中型SUVは、HVをはじめとするエコカーが手薄なゾーン。そこに新しいコンセプトのPHVを投入したことで、差別化につながっている側面がある。

三菱自は岡崎工場でのリコール作業を報道陣に公開

何より、大きなポイントがリコール対応だろう。通常、リコール作業は購入した販売店などで実施するが、今回は電池交換作業等で「万に一つもミスがないようにするため」(相川哲郎・常務取締役)に全車両を回収し、岡崎工場で集中的に作業を実施している。7月8日には岡崎工場における作業工程を、報道陣に公開した。

7月5日時点ではリコール対象となった4313台のアウトランダーPHEVのうち、1390台の作業が終了、夏季休暇の始まる8月10日には回収した車両のリコールをすべて終える予定だ。休暇明けとなる8月19日からは生産、出荷も再開する。先に起こったリコールをめぐる対応の反省もあってか、今回の電池不具合についての情報開示は適時、進められている。こうした対応がブランドイメージの低下を食い止めている面はありそうだ。

「社内での期待が高い車種だっただけに残念としかいいようがない」。電池不具合問題の発覚直後、ある三菱自の幹部はがっくりと肩を落としていたが、期待の新型エコカーは、海外を中心に挽回の芽も見えてきつつある。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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