「成績のよい子」は、だいたい何時に寝るのか 平均睡眠時間は8〜9時間程度が望ましい?

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つまり、2時間の寝不足で受ける授業は、「ほろ酔い」で参加しているようなもの。授業に集中できなかったり、授業内容を系統だった知識として理解できなかったり、覚えていなかったり、退屈で勉強が嫌いになったり、テストで良い点が取れないのは誰であっても、至極当然のことなのです。

一方、その場では「わかった」「覚えた」と思っていることに対する睡眠不足の影響はどうでしょうか? 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を1セットとし、1晩に数セット繰り返します。人間の脳はレム睡眠の間に、記憶したことを整理して定着させますが、レム睡眠は朝方に多いのが特徴。つまり、睡眠が不足するとこのレム睡眠から削られるので、勉強したことが記憶として定着しにくくなってしまいます。

またレム睡眠が少なくなるということは、記憶を消去する働きのノンレム睡眠の比率が上がるので、いずれにしても睡眠不足では記憶が定着しにくく「わかった」「覚えた」と思っていたことも記憶から消えていることが多いでしょう。

寝ない子は「海馬」が育ちにくい!?

また子どもの場合は、そもそも眠りで脳内の神経ネットワークを形成して未成熟な脳機能を完成させたり、情報処理能力を高めたり維持したりするので、この時期に睡眠不足が続くと、脳の発達に悪影響があると考えられています。東北メディカル・メガバンク機構の瀧靖之教授らの実験によると、睡眠時間が短い子は長く寝る子よりも、脳の「海馬」が小さいという結果が出ています。

海馬は勉強など新しいことを記憶する大切な領域です。そしてこの実験では、睡眠時間の少なさが海馬の神経細胞の新生や分化を抑えているということが示唆されています。脳の中で唯一、成人後も細胞分裂を繰り返す海馬のサイズが睡眠の長さで変わってしまうとは……今後の研究が待たれています。

皆さんの学生時代を振り返ると、成績の良い優等生は早寝早起きだった印象がありますよね。それも今考えると、彼らは成績が良いから早く寝るのではなく、早く寝るから(知能を最大限有効活用することができ)成績が良かった、のでしょう。

西川 ユカコ 昭和西川副社長、睡眠サービスコンソーシアム理事

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にしかわ ゆかこ / Yukako Nishikawa

睡眠サービスコンソーシアム理事、睡眠改善インストラクター、温泉入浴指導員、セロトニントレーナー。学習院大学卒業後、「ヴァンテーヌ」「25ans」「婦人画報」の編集者としてハースト婦人画報社に10年間勤務。現在は家業である昭和西川の代表取締役副社長を務め、また睡眠研究家として「ミス日本」ファイナリスト勉強会や「NHK文化センター」青山教室などで睡眠講義を行う。科学的データを参考にしながら、日中にパフォーマンスUPするための快眠法を日々研究中で、2020年4月にその全メソッドを公開する著書『最強の睡眠』を上梓。同年3月より、「睡眠サービスコンソーシアム」の理事も務める。

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