イマドキ女子は「不安解消のため」風俗で働く 「ぜいたく」をしたいわけではない
2015年の同県161社における事務職の平均初任給は、高卒で額面15万4329円(原則として、時間外・通勤手当を除いた諸手当込みの所定時間内賃金。広島県中小企業家同友会調べ)。ミチルさんの待遇は、際立って悪いというわけでもない。
「就職した翌年に実家を出て、一人暮らしをしています。ワンルームで、家賃は5万円。車を持っていないし、毎日自炊しているし、月々の支出で大きいのは家賃ぐらい。だから、月16万円でやっていけないことはないんですよ。でもそれだけだと、友達と遊びにいくのも、ちょっとしたモノを買うのも我慢しなきゃいけなくて」
給料から大きく外れた、ぜいたくな暮らしをしたいわけではない。ミチルさんが身に着けているのは、ほとんどがユニクロで購入したもの。それでも持ち前の美貌とプロポーションによって、スタイリッシュに見えるのはうらやましいかぎりだ。栗色のロングヘアもネイルも手入れがいき届いているが、すべてセルフケアだという。
友達との遊びについても同様で、ファミレスや居酒屋で集まって飲み食いしながら延々とおしゃべりをするだけ。いたってつつましい生活だ。それでも給料の範囲内で生活を賄うには、月に何度かは友人の誘いを断り、買いたいものを我慢する。ミチルさんにとって最大のぜいたくは、年に1度の近県への旅行と、小学生のときから好きなEXILEのライブ参戦で、これはあきらめたくないという。
「それに、今のお給料だと貯金できないじゃないですか。将来に備えられないんです」
就職してから“不安”を感じるように
一人っ子として育った彼女は、幼少時から金銭的に不自由をしたことがなかった。大学の学費は両親が出してくれたし、在学中のアルバイト代はすべて自分のお小遣いになった。“不安”を感じたのは、就職してからだという。
「定年までこの会社にいて貯金できる額を計算したとき、自分が立っていた地面がグラグラと揺らいだように感じたんです。先輩や上司を見ると、この先の自分の生活レベルも予想がつきますよね。結婚したら子どもも欲しいけど、こんな調子じゃ苦労させるかもしれない。もし結婚せずにひとりで老後を送ることになったらどうしよう……? 友達は“でも年金があるじゃろ”って言うけど、バカなのかなって思う。私たちの世代、年金なんてもらえるわけないのに」
だから風俗、という彼女の行動を短絡的と思う人もいるかもしれない。転職やキャリアアップを通して、収入を増やす方法もあるじゃないか、と。
「ピンと来ないんですよね。学歴を考えると、頑張ったってたかがしれてるし。そりゃ、今の会社より条件がいいところはありますよ。でも、努力して資格を取って転職した先がブラック企業で精神を病んだ友達とかを見ていると、そこまでしなくても、って思っちゃう。定時で帰れて、結婚後も勤め続けられるこの環境をわざわざ手放さなくてもよくないですか?」
それよりも今、プラスアルファの収入を。そう結論づけて彼女は、週に2回、本業に支障を来さないペースでデリヘル店に出勤する。1度出勤すると3~4人の客がつき、それによって月に15万~20万円の収入を得ている。
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