住友電工、医療機器で和歌山県立医大と提携 動脈硬化やがんを近赤外光カメラで見える化
コンポジションを用いると、たとえば同じ最上級の食肉であっても、脂肪分やうま味の重要因子であるオレイン酸の分布状況の違いを画像表示できる。住友電工では、すでに複数の食品会社に試作品を提供しており、混入異物や成分の変質、腐敗などの分析用途で製品化にほぼメドをつけている。
「がん」を見える化し、医療現場で役立てる
今回、和歌山県立医科大学と連携する医療分野では、カメラに光ファイバーを取りつけ、これをプローブ(探針)のようにして血管内を観察する、といった形での利用が考えられる。
記者会見に出席した住友電工の田中茂専務取締役・研究統轄本部長は、「1.7ミクロン近辺の波長域を使えば、脂肪の分布状態を見ることができる。また脂肪以外でも他の波長域を用いることで、生体の特異的な状態の検出を検討していきたい」とコンポビジョンの可能性を語った。
一方、住友電工の連携先である和歌山県立医科大学の板倉徹理事長・学長は、脂肪成分の画像化による動脈硬化治療への検討に加えて、がん治療や眼科診断における研究、技術開発の有用性も指摘した。
特に同大学が重点項目と定めて取り組む、がん治療の分野について、板倉理事長は「内視鏡で消化管を見る時に活用し、究極(の姿として)は、見掛けはがんかどうかわからないけれども、消化管の壁の成分を見ることによって、ここからここまでががんと分かっていくようになれば大変有用になる」と言及。
「手術をしていて、がんが全部取れたかどうかをリアルタイムで見ることができれば」(板倉理事長)などと、今回、住友電工と連携することへの期待を表明した。
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