日本株、2度目の「トランプ失望売り」に注意 トランプ相場はいったん終了した可能性

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前述のように、日本株押し上げの原動力となっていた円安ドル高も、上げ一服となっている。昨年末辺りからドル円と日経平均の連動性は鈍っているが、円安ドル高が止まれば、日経平均の先高期待がはく落するのは致し方ない。

なお、需給面で一点、ふれておきたいイベントが今年の夏以降に発生しそうだ。16日の取引時間中に、「財務省が日本郵政の株式を今年の夏以降に追加売却する方針」と伝わった。最大では1.4兆円規模の株式を売却する見通し。

実際の売却時期に関しては、今後の株価推移を見て決定するが、市場では7月もしくは9月あたりとみられている。日本郵政が属するサービス業では、年金筋によるリバランスが発生するほか、多少資金捻出の売りは入るかもしれないが、同社は日経平均採用銘柄ではないことから指数への影響は限定的とみる。今回の追加売却の話は、財務省および政府関係者が、2017年の相場見通しを比較的強気で見ている証左ともいえよう。

大統領就任式後の注目ポイントは?

20日の大統領就任式で、具体的な政策に関する話が出るとの期待感は根強いものがある。しかし具体的な話は、今回の就任式ではなく、2月の予算教書演説で実施されるとの声も聞かれる。

仮に、就任式で具体的な政策よりも「保護主義」に関する内容にバイアスが傾いたとすれば、1月11日の記者会見後のような相場の流れになるかもしれない。予算教書演説への期待感は残る一方で、2回連続での肩透かしに市場が失望、嫌気を示し、前回よりもドル売り、株売りの流れが強まるかもしれない。

そうなった場合、ドル円は、心理的な水準である1ドル110円を目指す可能性もある。この水準は、価格のバランスをさぐるひとつの指標である一目均衡表の雲の下限(109円93円)も位置していることから、下値メドとして意識されやすい。一方、日経平均は、13週移動平均線が位置する1万8559円水準辺りか。短期筋中心の値動きで、下落局面は長続きしないとみているが、2回目の肩透かしとなれば、1回下に突っ込むような地合いを覚悟しておいたほうがいいだろう。

逆にトランプ氏が、「昨年11月の勝利宣言」のような大統領らしい立ち居振る舞いをしたうえで、具体的な政策に踏み込んだ場合、市場が抱いていた過度な警戒感は多少後退すると見る。売り方の買い戻しも入ることから、ドル、株ともに多少は値を戻すだろう。しかし、「噂で買って真実で売れ」というフレーズ通り、「思惑先行」の地合いはいったん終わったと見ておいたほうがいい。買い戻し一巡後は上値の重い展開となり、こうした流れは2月の予算教書演説まで続くと想定する。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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