鉄道会社の「高架下ビジネス」がアツい理由 中目黒駅も一気に生まれ変わった!

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関西でも高架下の活用はさかんに行なわれている。JR西日本は2014年3月、玉造駅の高架下および付属地に商業施設「ビエラ玉造」をオープンさせた。オレンジ色の103系列車を模した外観が人目を引くデザインで、フィットネスジムや100円ショップ、保育園などが入店している。

南海電鉄は、難波―今宮戎間の高架下を活性化する「なんばEKIKANプロジェクト」を進めている。2014年から再開発がスタートして現在はカフェ、DIY、スポーツ用品など9店舗が入居する。鉄道高架が造られたのは1938年。当時の建築の特徴として、梁の部分が美しいアーチ型を描いている。この約80年前の造形が店内にそのまま残されている。

阪神は野菜工場を建設

阪神電鉄は2014年、尼崎センタープール前駅に野菜工場を建設した。「野菜の水耕栽培なら日当たりの悪い高架下でも可能」ということでスタート。試行錯誤の末、現在では百貨店やスーパーに安定的に出荷できるようになった。

高架化や地下化などによって立体化された区間が約9割におよぶ阪神は高架下の有効活用策を経営課題の一つに掲げており、2015年には大阪市内の高架下でシイタケの試験栽培も開始している。このほか、新在家駅の高架下で、個人による少額投資で地域住民が出店者を支援するプロジェクトを実施するなど、高架下の新たな活用方法に取り組んでいる。

高架下での野菜栽培には東京メトロも進出しており、2014年に東西線の西葛西駅-葛西駅間の高架下に工場を建設。阪神と同様、農薬を使わない水耕栽培によってフリルレタスやベビーリーフなどを栽培している。

駅ナカはかなり開発が進んでいるが、開発の余地が少なくなってきた都市部にあって、まだまだ開拓途上といえるのが高架下だ。あなたが有効活用されていないと感じる高架下には、意外なビジネスチャンスが潜んでいるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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