「ノーシャンプー」生活は頭皮や髪に効くのか 立ちはだかる二つのカベ
ノープーのスタイルは人それぞれ。シャンプーを週1や月1に減らす人。湯シャン派のほか、重曹や小麦粉で洗髪する人もいる。首都圏で暮らす公務員の女性(41)は「塩シャン」派。
「5年ほど前、頭痛などに悩まされました。半身浴や靴下の重ねばきで冷えをとると体調が改善し、自然治癒の力を知りました。塩シャンを始めたのも、体の自浄作用がどう働くのか、試してみたかったからです」
まず髪を100回ブラッシングし、湯でざっと洗い、汚れやほこりを落とす。次に塩が溶けきらなくなる濃度の塩湯を準備。頭皮や髪にかけて、湯で洗い流し、最後に水をかける。塩シャンを始めてから白髪が減り、朝の髪のぱさつきがなくなったという。
「頭の皮脂は避けるべきものでなく、“天然の美容液”だと感じています」
半年に1度、業務用の塩を25キロ買い、体も塩湯で洗う。
「初めにシャンプーをやめ、次にボディーシャンプー、洗顔料、基礎化粧品……どんどんシンプルになっていきました。人に話してもあまり理解されないので、ひとりでひっそりとやっています(笑)」
できる人とできない人
ノープーは思い立ったらすぐ始められる。しかしアエラがインターネットを通じてノープーに関するアンケートをすると、こんな声もあった。
「湯のみの洗髪を取り入れていたが、フケやかゆみがひどくて、しっとりを通り越してねっとりした髪質に。社会人として生活していけないと思い、半年ほどでやめた」(38歳女性)
一般的にノープーを始めるとしばらくは、髪のべたつきやにおいに悩まされる。それまでのシャンプーの洗浄力に応じて皮脂が過剰に分泌されるからだ。一定期間を過ぎるとバランスが取れるとされ、先の塩シャン派の女性はそれに1週間、湯シャン派の女性は4カ月かかったという。もちろん個人差があって、
「ひどいかゆみに悩まされ断念した」(34歳女性)
と訴える人もいた。
スムーズにノープーに移行できる人とできない人。その違いはどこから来るのか。東京医科大学病院皮膚科の坪井良治主任教授は次のように説明する。
「皮脂の分泌量が人によって違うからです。髪を洗いすぎると頭皮が乾燥してよくないが、洗いが足りないと皮脂や汚れがたまる。雑菌も繁殖し、におったりかゆくなったりします。悪化するとニキビができたり、脂漏性皮膚炎になったりもします」