世界同時不動産ブームに漂う「危険な空気」 リスクは米国の利上げだけじゃない

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元英金融サービス機構長官のアデア・ターナー氏は、最近の著書で、その理由を、金融緩和などで投機資金が拡大しても好ましい立地が増えるわけではないため、高額不動産の需給が逼迫しやすいと説明している。

しかし、今年は米国でFRB(連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速する。世界の金融政策も、超緩和一辺倒から転換期を迎えつつある。今回の不動産ブームが、行き過ぎたバブルなら、近い将来、はじけてもおかしくない。

では、世界の不動産価格はどれくらいバブル状態なのだろうか。不動産のバブル度合いを計る指標には、不動産価格の年収に対する倍率や賃料に対する倍率、不動産貸出増加率の経済成長率に対する割合などがある。

スイスの大手金融機関であるUBSは、こうしたデータを用いた「バブル指数」を毎年公表している。2016年の世界の主要18都市のバブル度は、前年から上昇し、最もバブル度が高いカテゴリーの都市の数は、2都市から6都市に急増した。

2016年のバブル度トップはカナダのバンクーバーだった。特に、賃料に対する物件価格の倍率は40倍と世界一だ。年間賃料の物件価格に対する利回りはわずか2.5%にしかならない。これに、ロンドン、ストックホルム、シドニーが続く。

東京の不動産価格もすでに頭打ちに

これらに対して東京はどうか。日本のバブル度は18都市中の12番目と、他の都市に比べるとそれほど深刻ではない。

しかし、東京の不動産価格には別の問題がある。世界の生活費データによれば、東京の高級物件の賃料の目安は、月々36万円(85平方メートル)で、上位都市の一つではあるが、最高の香港(58万円)ほどではない(Expatistanの資料による)。ただ、東京は主要都市の中で、これらの高級物件と通常物件の賃料の差が1.9倍と、主要都市の中で最も大きい。つまり、東京は、高額物件の家賃や物件価格が普通の物件に比べて割高になっている可能性がある。

この背景に、タワーマンションの課税措置の歪みがある。この数年、低層階と高層階が同じ租税基準価格であることを利用し、価格の高い高層階を買う節税手法が一般化していた。ただ、この税制は見直される予定で、早ければ、2018年の1月にもこの"タワマン節税"は難しくなる。

こうした高額物件の割高感や購入対象者の減少から、東京の高額物件には陰りがみえつつある。実際、不動産経済研究所のデータでも、東京の住宅価格は、2007年の前回ピークを越えた2016年1月以降頭打ちになっている。

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