トヨタとホンダの「考える車」は何が違うのか 米「CES」で示された次世代コンセプト

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所有か使用か。デザインもコンセプトの違いを明確に表している。

どんなデザインなのか

トヨタの米国デザイン拠点Calty(キャルティ)が担当したConcept-愛iのデザインは、優しい卵形で、ヘッドランプが瞬きする。サイドウインドーのグラフィックや上方に跳ね上がる観音開きで先進性も表現しつつ、「愛車」であることをアピールしている。

NeuVは欧州人デザイナーが担当。彼は自分の作品について「マイベイビー」と語っていたものの、トヨタのような感情表現はなく、むしろインダストリアルデザイン的だ。こちらもドアの開き方に特徴はあるが、それも機能重視の結果に感じられる。

Concept-愛iが4人乗りで、ボディサイズもプリウスと同程度だったのに対し、NeuVはコミューターと称しているとおり、2人乗りとすることで車体をコンパクトにまとめているのも、考え方の違いを表している。

自動車メーカーブースの様子

クラウンやカローラなどによってクルマのある豊かな暮らしを提示してきたトヨタと、スーパーカブや軽自動車といったモビリティ視点の乗り物に力を注いできたホンダという違いが、2台のコンセプトカーからは感じられた。ドライバーの感情を読み取るという目的は同じなのに、ここまで違う形で現れたのだから、日本車の個性はまだまだ伸びしろがあるのではないだろうか。

クライスラーのコンセプトカー

同じCESで発表されたクライスラーのコンセプトカーは、フィアットとの合併効果もありスタイリッシュにまとめてあるが、トヨタほど人に寄り添う仕立てにはなっていなかった。BMWのコンセプトカーもスタイリッシュなインテリアを持っていたが、ドイツらしく、機能と技術で押しており、感情という言葉すら連想するのが難しかった。

パートナーロボットの世界は日本が主役。これは以前、ロボット専門メディアの編集長から聞いた話だ。欧米はロボットを人より下の奴隷的な存在として見ることが多いのに対し、日本は友達として付き合うことができる、稀有な民族であることが生きているようだ。

その特性が、CESでの日本メーカーのコンセプトカーに現れていると思った。今後のコネクテッドカー進化の過程では、ロボットと友達として付き合える日本ならではの文化が有利に働くかもしれない。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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