トヨタとホンダの「考える車」は何が違うのか 米「CES」で示された次世代コンセプト

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驚くべきはその性能で、0~60mph(約96km/h)をわずか2.39秒で走り切る。参考までに記せば、フェラーリの最新型488GTBは0~100km/hが3秒である。世界最速の加速を誇る市販自動車といえる。しかも自動運転のほかインターネットなどへの通信機能を付与する、いわゆる「コネクテッド」にも対応している。発売は来年だが、すでに予約受け付けを開始したという。

一方の自動運転は、一段落という印象を受けた。どんなに技術競争をしても、電動車両と違い、現状のルールでは公道を普通に走ることができないことに、メーカーもユーザーも気付いたのかもしれない。昨年5月、テスラ「モデルS」で自動運転中のドライバーが死亡事故を起こし、米国をはじめとする各国政府が注意を促したことも関係していると思われる。

今回のトレンドは「コネクテッドカー」

では今回のトレンドはなにか。クルマの知能化、つまりコネクテッドカーだ。こちらは現状のルールでも適用可能ということもあって、各メーカーが新しいテクノロジーやインターフェースをこぞって出展していた。

ただし取材をする側からすると、難しいテーマだったことも事実だ。自動運転車はステアリングやペダルを取り去ればそれとわかるのに対し、コネクテッドカーはディスプレイを並べるだけなら現在の車両も実践しており、見分けがつきにくい。どんな機器を搭載するかより、どんな情報を提供するかが重要となる。「モノ」より「コト」が大事なのだ。

いくつかの自動車メーカーや家電メーカーは、既存の車種にコネクテッド機能を盛り込んで展示していたが、写真で見ると市販車とほとんど変わらない。コネクテッドカーに大切なのは「見える化」だと実感した。この面に特化した専用設計のコンセプトカーを製作し、CESの場で初公開としたメーカーのほうが、格段に印象に残った。

ホンダの「NeuV(ニューヴィー)」

自動車メーカーでは、地元FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)のクライスラー・ブランドとトヨタ、ホンダ、BMWが、世界初公開となるコンセプトカーをここで発表している。このうち個人的に注目したのは日本勢の2台、トヨタの「Concept-愛i(コンセプト・アイ)とホンダの「NeuV(ニューヴィー)」だった。

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