渋谷駅に「カレーメシ」の店が誕生したワケ 「どん兵衛」「ラ王」に次ぐ日清の新店舗
単純にチョコレートひとかけをトッピングにして、最後にお湯をかけてこれを溶かすのであれば、確かに美味しいのだという。しかしそれでは、ドリップ方式の楽しさをアピールすることにはならない。
結果的に、トッピングの利用は見送られた。「あくまでもドリップ方式で、オープンカウンター式のキッチンでお客様の目の前で調理をして、新しく生まれ変わったカレーメシの美味しさや楽しさをお客様に体感して頂くことが、ショップをオープンした目的でもあるので、この一点は安易に妥協せず、最後までこだわった部分です」と和田さんはドリップへのこだわりを強調する。
抹茶、昆布茶、梅昆布茶…、試食してみたら期待にそぐわなかったという食材は、数多くあった。甘み、辛み、苦み……、旨味マトリックスを製作して、そもそもカレーの美味しさがどこにあるのかが突き詰められていったが、カレーという料理そのものに決まった一つの到達点があるというわけではない。そこで、ホテルなどで提供される欧風のテイストが、一つの指針となっていった。
意外な食材が美味しさを引き出す
「駄目もと」で試してみて、思わぬ結果を出してくれたのがジャスミン茶。これは早速メニューに加えられた。
「レモングラス、ミント、ローズマリー、このあたりのミント系も順番に試していって、この時はパクチー(コリアンダー)も試しました。ジャスミンが成功したのは、香りのついたお湯が、カレーだけでなくお米の中にまで染みわたって、お米の味をさらに引き立てたからなのですね。開発スタッフ一同、『これが美味しくなるとは思わなかった』と。そこは意見が一致しました(笑)。現在、渋谷の店頭には3種類のカレーメシを用意し、ドリップする食材も7種類用意してあります。当然、相性の良いものだけを厳選して提供しています」(和田さん)
このようにして決められていったフレーバーだが、中でも調整が難しかったのはコーヒーだ。香り付けにコーヒーを採用することはすぐに決定したものの、どの豆を使ったコーヒーを使用するかを決定するまでには、時間を要したという。バランスによっては「意外な味」に仕上がってしまうのだ。
「現在、ショップでお出ししているもので、酸味、苦み、コクが絶妙なバランスになっているのがコーヒーです。この3つのバランスが崩れると、コーヒーをドリップして出来上がったカレーメシの味が落ちてしまいます。その理由がどこにあるのかは、私ども自身もよく解っていないのですが、途端に味が変わって、納豆のような味になってしまうのです(笑)」(東さん)
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