「できない人事」は性悪説で会社を振り回す

メルカリ人事担当取締役に聞く<後編>

――そうなんですか!?

メルカリは基本的にテキストコミュニケーションです。パワーポイントのスライドで説明することは、テキスト(文章)でまとめたら実は数行で終わるコンテンツだ、ということがよくありますよね。パワーポイントは、細部までこだわりはじめると作成に膨大な時間を取られる。そうしたことは時間の無駄と考えています。

――ということは、Slackでのやりとりが承認プロセスになっているということですか?

ほとんどのことはSlack上で意思決定されています。繰り返しますが、余計な業務や作業をしてほしくはないのです。メルカリの社員はだいたい夜8時ぐらいには帰宅します。他のベンチャーに比べれば早いほうです。これは、内向きの仕事をやらなくていいことの効果だと思っています。

性悪説は組織をダメにする

――伝統的な日本企業の人事を見ていて感じることはありますか?

あります。人事の人は、すごく優等生ですよね。ミスをしない、ミスをしてはいけないと自分を律しているという意味で。でも僕は、人事の人にも、ウェブサービスの構築のようなイメージで施策をつくればいいのに、という話をしています。

ウェブサービスは、A/Bテストが典型例ですが、やってみていいほうを採用したり、失敗したらすぐ中止したり、走りながら構築していきますよね。最初から完璧を求めるのは、はたしていいことなのか。人事はもっとミスをしてもいいと思います。

――人事はミスに対しても厳しいですよね。

なにかあると、すぐに制度で対応しようとするところがありますね。でもそれは、みんな問題を起こすんだ、という性悪説に基づいているような気がします。性悪説に立った瞬間に、ルールは簡単に増えていきます。僕らは性善説に立って動いていますが、ただ、どこまで性善説のカルチャーを保てるかはつねに考えています。

たとえば、会社のPCを持ち出すのに申請書が必要というのは、よくある話ですが、本来なら、そんなルールはいらないのではないか。みんな大人なんだし、やっていいことと悪いことの区別は自分でつくのではないか。

もちろん、人間ですから、多少のミスは起きると思います。でもミスが発生する1~2%に備えるために、99%の人が余計な仕事をしたり、制度やルールに巻き込まれるのは果たしていい状態なのか? そうした状態は、組織をおかしくすると思っています。

話を『ワーク・ルールズ』に戻すと、GoogleやFacebookは、性善説に立っている。彼らのように、性善説と社員を働かせるバランスがうまい企業になりたいと思っています。

メルカリでは、飲み物の自販機は無料です。これを見た方は、社員にすごく配慮されているのですね、とおっしゃってくれます。でも経営の本音としては、飲み物を外に買いに行くのに5分以上かかるから、その分は働いてほしい、ということがある(笑)。

そのあたりは、信頼関係だと思います。経営陣と社員が離れていれば、経営陣の意図を見透かして社員はしらけるでしょうし、その関係が近くて信頼関係があれば、よく配慮してくれている、ということになる。

GoogleやFacebookは、そのバランスが絶妙です。見習いたいと思っています。

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