テスラのEVを陰で支えるニッポンの「素材」 電池に使う「あの金属」の鉱山を持つメーカー
主力工場である磯浦工場(愛媛県新居浜市)、播磨事業所(兵庫県播磨町)に約180億円を投資、すでに16年2月から生産開始している子会社の住鉱エナジーマテリアル楢葉工場(福島県楢葉町)とも連携し、ニッケル酸リチウムの生産能力を月産1850トン体制から3550トン体制へと増強する計画で、2018年1月に完了する予定だ。
大容量化に向くニッケル系を採用
二次電池にはニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池など数多くの種類があり、パソコン、スマホ、デジカメなどその用途もさまざまだが、車載用バッテリーとしてスタンダードになっているのが、リチウムイオン電池だ。
リチウムイオン電池の性能を決めるのが正極材料といわれ、正極材料の種類によって、コバルト系、マンガン系、ニッケル系、鉄系、三元系の5つのタイプに分けられる。すでに量産されているEVでいえば、日産自動車の「リーフ」はマンガン系、三菱自動車の「アイ・ミーブ」などは三元系の正極材料を使っている。
一般的にマンガン系は容量は比較的小さいが、熱安定性に優れている。三元系は寿命、熱安定性に優れているが容量の点ではニッケル系よりも劣る。一方、ニッケル系は大容量化が可能、しかも寿命も長いが、熱安定性にやや弱点がある。
住友金属鉱山とパナソニックは、大容量と熱安定性をできるだけ両立させる改良を加え、高性能ニッケル酸リチウムを開発、特許も取得している。
車載用バッテリーメーカーは、パナソニックのほかにサムスン電子、LG電子の韓国勢2社がある。パナソニックに正極材料を納入している住友金属鉱山の強みは、最新の加工技術を持っているだけでなく、自社でニッケル鉱山を保有していることだ。生産活動に不可欠な素材そのものを安定して確保できる体制を構築していることが、住友金属鉱山が選ばれた理由だろう。
住友金属鉱山の正極材料は、「モデル3」に供給することでEVの普及を大きく後押しすることになる。正極材料の技術が今後一層向上すれば、電気自動車そのものの性能向上、そして販売増、量産効果とともに低価格化も進み、普及が進む、という好循環につながるだろう。
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