トランプ大統領で米国経済は強くなるのか

大型減税、財政拡張など政策の効果を予測

トランプノミクスは、1981年から2期務めたレーガン元大統領による経済政策「レーガノミクス」との類似点が度々指摘される。具体的には、(1)大型減税。レーガンは所得税減税や企業投資減税、トランプは所得税減税と法人税引き下げ。(2)規制緩和。レーガンは米国産原油の価格規制を撤廃、トランプは金融規制改革法(ドッド・フランク法)の廃止。(3)スローガン。レーガンは「強い米国」、トランプは「米国を再び偉大に」。

レーガノミクスによる大型減税やサプライサイド改革が景気を押し上げ、税収増などで財政赤字が縮小したのはレーガン政権の第2期に入ってからだ。さらに10年以上が経過してレーガノミクスによる構造改革がようやく実を結び、当時のクリントン政権が財政黒字の恩恵を享受したとも言われる。「税政策センター」によれば、トランプ政権の下で財政赤字はGDP比で2.5%から6.0%弱まで拡大が続く見込みだ。トランプノミクスの功罪を判断するには時間を要しそうだが、その前に財政不安が浮上してくる可能性がある。

保護主義への傾斜は避けられない

トランプ氏は選挙期間中に「中国とメキシコからの輸入品にそれぞれ45%、35%の報復関税を課す」と表明し、日本の自動車には38%の関税(現在は2.5%)をかける可能性も示唆した。選挙戦終盤の10月下旬に公表した「就任100日行動計画」では、大統領就任当日にNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉もしくは脱退とTPP(環太平洋経済連携協定)からの撤退を表明するとしている。通商政策に関する大統領権限は大きく、貿易協定からの脱退や一部輸入品の関税引き上げは議会の承認がなくても可能である。トランプ氏の主張が議会で多少修正されるにせよ、米国が保護主義に傾斜するのは避けられないだろう。

米国の保護主義的アプローチは中国やメキシコにとどまらず、他国にも広がる恐れがある。米国への輸出比率(対GDP比)をみると、メキシコ(27.0%)やカナダ(20.2%)が圧倒的に高い。トランプ氏はメキシコからの輸入品に35%の関税をかけると主張しており、同国は最も打撃を受けることになりそうだ。米国が保護主義に傾けば、その動きは世界各地に広がり、貿易戦争や通貨安競争が再燃するリスクもある。

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