デンソー「自動運転技術」はこうして生まれる

めったに公開されないテストセンターの内部

施設内で天井を見上げると、雨を降らせるためのノズルが約500本設置されている。雨量は4ミリ程度の小雨から50ミリ程度の激しい雨まで再現できるほか、自然雨に近い粒径にして降雨量分布を均一にできる。担当者によると「かかった費用は具体的にはいえないが、たとえばノズルは1ユニットで10万円はする」という。

建屋外の周回路も約2年前に一部改良した。路肩と道路の区切りを日本の白線の代わりに、米国に多いボッツドッツ(道路に間隔を置いて埋め込まれた小さな円盤)を一部で再現。また、内側の道路にも砂利道や登坂路などさまざまな道路が再現されており、そこでも安全評価を行っている。

独コンチネンタル製がカローラに採用

自動車部品で国内最大手のデンソーは、パワートレーンや空調関連など多種多様の自動車部品を手掛けている。その中で最近特に力を入れるのが、情報安全関連だ。

主力製品は自動ブレーキに欠かせない周辺の認識技術であるカメラ、ミリ波レーダー、レーザーレーダー(ライダー)など。走行障害をもれなく感知し、フリースペースを認識し、さまざまな交通環境に対応しなければならない。これらは単品というより、それぞれの長所と短所を生かし、複数を組み合わせる必要もある。こうした知見を積み上げてきたが、昨年事件は起きた。

トヨタが昨春に発売した新型カローラに初搭載された予防安全装置「トヨタ・セーフティ・センスC」に採用されたメーカーは、大本命とみられたデンソーではなく、ドイツのライバルメーカー・コンチネンタルだった。同社はシステムに欠かせないカメラやレーザーレーダーを組み合わせたセンサーモジュールをトヨタに納入。搭載車種は増え続けている。

ドイツの部品メーカーは今、メガサプライヤー化し日本の自動車メーカーへの販売攻勢を強めている。コンチネンタルは昨年にトヨタのお膝元である豊田市にエンジニアリングセンターを開設。セーフティ・センスCはトヨタから技術開発賞も受賞した。系列会社を重視してきたトヨタは、海外勢をあえて採用することで、デンソーに対して次世代商品の開発スピード向上に発破をかけているようにみえる。

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