「帰りの通勤電車」、空き始めるのはどの駅か 首都圏私鉄の「通過人員」を比較

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ほかの大手私鉄各線とは異なる特徴があるのは、京急本線と京成本線だ。これまでに取り上げた各路線は、いずれもターミナル駅かその近くが輸送量のピークであるのに対し、この2路線はもっとも利用者が多い区間が都心部から20キロメートル以上離れた地点にあるのだ。

これは、京急本線では横浜駅(品川から約22キロメートル)、京成本線は京成船橋駅(上野から約25キロメートル)でJR線から乗り換える乗客が多いためだ。両線は朝ラッシュ時の最混雑区間もこの付近で、京急線は戸部-横浜間(145%)、京成線は大神宮下-京成船橋間(132%)となっている。

郊外では中央線を上回る京急

ターミナルから30キロを越えたエリアでは、京急は中央線よりも輸送量が多い。京急は羽田空港輸送に力を入れているが、輸送量でいえば横浜よりも南側がボリュームゾーンということになる。夕方~夜に運転される座席定員制列車「ウィング号」も品川を出ると上大岡駅(品川から約31キロメートル)まで止まらない。

京成本線は青砥-高砂間(京成上野から約12~13キロメートル)で輸送量が一瞬だけはね上がるが、これは青砥駅で接続する押上線の利用者が加わり、高砂駅で北総線の利用者分が減るためだ。その他の区間は全体的になだらかに減少する傾向となっている。

都心から郊外へと向かう大手私鉄の通勤路線。都心から同じ距離の駅同士でも、比較してみると意外と輸送量は異なっているものだ。日ごろ電車を利用している際の感覚と、実際の輸送量は一致していただろうか。

帰りの電車で座れれば、1日の疲れも少しは軽減されるもの。引っ越しや定期券購入の際のルートを決める場合などは、どの路線がどこまで混み合っているか、どこから輸送量が減るか(電車が空く可能性があるか)を考えてみてもいいだろう。何はともあれ、帰りが遅くなりがちなこの季節。運良く座れた際には、寝過ごしには気をつけて……!

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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