「帰りの通勤電車」、空き始めるのはどの駅か 首都圏私鉄の「通過人員」を比較
田園都市線は大きな波がなく、徐々に減り続ける形だ。朝ラッシュ時の渋谷付近では全国有数の混雑率(184%)として知られる同線だが、渋谷から約25キロメートルの長津田から先、終点の中央林間駅(約31キロメートル)までの間に関していえば、今回取り上げた10路線の中でもっとも輸送量が少なく、混雑路線の意外な姿といえるかもしれない。
一方、ターミナル駅から少し先の乗り換え駅で混雑が一気に増すのは小田急線、西武新宿線、西武池袋線、東武伊勢崎線、東武東上線だ。「始発駅から乗った後でさらに乗客が増える」タイプといえる。
西武新宿線や東武伊勢崎線(スカイツリーライン)は起点である西武新宿駅や浅草駅より、JR線などとの接続駅である高田馬場駅や北千住駅が実質的なターミナルといえる存在だ。起点から乗れば比較的ゆったり帰れるということもできる。西武鉄道は高田馬場駅と西武新宿駅の両方を利用できるJR線連絡定期券「Oneだぶる♪」を発売しているが、「帰りは西武新宿からゆったり帰宅」できることをセールスポイントとしており、帰路は座れる始発駅から乗りたいという需要があることがわかる。
ボリュームが圧倒的に多い小田急線
小田急線は新宿駅も大ターミナルだが、代々木上原駅(新宿から約4キロメートル)で接続する東京メトロ千代田線から多くの利用者がなだれこんでくる。さらに下北沢駅(約5キロメートル)で京王井の頭線からの乗り換え客も加わり、このあたりが最も混む区間だ。
さらに、小田急線は郊外へ行っても利用者がなかなか減らない。多摩ニュータウン方面への多摩線が分岐する新百合ヶ丘駅(約22キロメートル)でやや減るものの、新宿発車時点とほぼ同じ利用者数まで減るのは、約30キロメートル離れた町田駅を過ぎてから。とにかく利用者数のボリュームが多いのだ。常に混み合っているイメージの同線だが、このデータを見ればそれもうなずける。複々線化の完成が待たれるところだ。
東武東上線も、東京メトロ有楽町線・副都心線との接続駅である和光市(池袋から約13キロメートル)で利用者数が一気に増えるものの、池袋駅付近のほうが輸送量は多い。ターミナル駅から徐々に輸送量が減っていくタイプとみることもできる。
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