「トランプ相場」にも喜べない証券会社の事情 個人は"売り"、株価を押し上げたのは誰?

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11月の「トランプラリー」は、日経平均の大幅下落から始まった(撮影:梅谷秀司)

トランプ相場に沸いた、11月の株式市場。1万7380円でスタートした日経平均株価は、11月9日の「トランプ・ショック」で一時1万6111円まで突っ込んだものの、トランプ氏の掲げる財政拡大政策が注目されると上昇に転じ、12月1日には1万8746円と年初来高値を更新した。

11月9日以降は商いも盛り上がり、東証1部の11月の1日当たり平均売買代金は2.6兆円と、活況の目安となる2兆円を3カ月ぶりに上回った。市場の活況は、当然ながら証券会社にも波及している。

毎月の営業成績を公表しているネット証券大手では、松井証券が1422億円と前月比22.3%増、カブドットコム証券が1049億円で同37.4%増と、平均売買代金が大幅に増加した。いずれも、「ポケモンGO」のリリースで任天堂の株価が急騰した今年7月以来の水準となった。

個人投資家は冷めている

しかし、意外なことに証券会社の顔色は冴えない。大手対面証券の幹部は「個人投資家のセンチメントが戻ってこない」と嘆く。その理由は何か。同幹部が指摘するのが、投資家の行動が「やれやれ売り」で終わっている点である。

やれやれ売りとは、ある株を購入したものの、その後に値下がりし、仕方なく保有を続けていたところ、何かのきっかけで相場が回復し、買値に近づいたので売却する、という行動を指す。売る時の気分が「やれやれ」なので、このように表現される。

通常の上昇相場であれば、相場の先高感を受けて、株価が少し下がれば個人投資家は"押し目買い"に走る。その結果、市場全体の売買代金に占める個人投資家のシェアは徐々に膨らんでいく傾向がある。

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