「トランプ相場」にも喜べない証券会社の事情 個人は"売り"、株価を押し上げたのは誰?
ところが、野村証券のまとめによれば、10月第4週に20.3%だった市場全体における個人投資家のシェア(現金+信用)は、11月第1週が19.1%、第2週と第3週が20.0%と、伸びるどころか減っている。つまり、個人投資家は売ったらそれっきりの状態なのだ。
こうした状況は対面証券に限ったことではない。ネット証券の営業担当者は「対面証券の顧客に比べて、われわれの顧客は相場に動きが出れば、それに付いていこうとする。とはいえ、このまま相場が上がり続けるとも思っていないので、それほど長期で持とうとはしていない。今はそこそこ商いがあるというくらいで、これで一安心という雰囲気ではない」と打ち明ける。
実際、前出のネット証券の11月の1日当たりの平均売買代金も、前月比では大幅に増加したが、1年前との比較では、松井証券が4.5%減、カブドットコム証券が3.2%減と、物足りない水準だ。今年10月までは売買代金が低迷し、それだけハードルが低かったといえる。
個人の売りを外国人の買いが吸収
では、個人投資家が売った株を誰が買っているのか。投資主体別の主要2市場の売買動向によると、個人投資家は5カ月連続の売り越し。個人投資家の売りが起点となって、投資信託も2カ月連続の売り越しとなっている。一方、2カ月連続で大幅な買い越しとなったのが外国人だ。11月第3週までの買い越し金額は8264億円で、10月の月間買い越し額(4717億円)を上回っている。
米国の金利上昇を起点として、円安ドル高による企業業績の改善期待から日本株が買われたのが「トランプ・ラリー」と呼ばれた最近の株高の背景だ。ところが、足元では米国の金利上昇も一服し、日経平均も12月に入ってから3営業日連続で下落している。11月の活況が12月も続くという保証はない。
昨年8月の「チャイナショック」以降の相場軟化で減益トレンドをたどってきた証券会社の業績。日経平均は終値ベースで年初来高値を更新したが、証券会社の業績が増益トレンドに転じるのは来年以降となりそうだ。
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