「トランプ相場」はそう簡単には終わらない 目先は注意でも17年1月以降も相場は強い

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では、日本株はどうなるだろうか。長い間、今年の高値となっていた1月4日大発会の日経平均は、寄り)1万8818円、高値)1万8951円、安値)1万8394円、終値)1万8450円だった。12月1日の終値1万8513円は、ついに終値ベースでの今年高値となった。

欧州の政局不安は続いており、相場は、記者会見をせず、SNSで一方的に発言しているトランプ次期大統領の言葉次第で、何が起きるか分からない。だが1年の動きを示す年足が陽線になる(年末の大納会の終値が年初の大発会終値以上)になると、ローソク足で言う「たくり陽線」となる。

つまり、今年の途中1万5000円割れの価格帯では「長い下ヒゲ」を出して、これ以上は下がらないぞという抵抗力を見せつつ、最終的には上昇して終了して終わる、ということだ。「たくり陽線」が出れば、チャートでは来年高いと言う「買いシグナル」だ。おりしも2017年は酉年だ。「飛び立つシグナル」とならないか。

それにしてもスピードが速すぎる!?

それにしても相場は予想外に急ピッチで上昇しているが、この相場水準は、強気派ファンドでも持たざるリスクに直面している。一時1万8746円をつけた先週木曜日(12月1日)の前場では、先物の買いで現水準の組み入れ比率まで微調整しなければならないほどだった。

筆者から見て十分買っていたと思われるファンドですら、その状態だった。弱気派や慎重派の持たざるリスクはいかほどのものか。ただし、日経平均1万8746円を付けたこの日の前場は、さながら「バイング・クライマックス」(買いのピーク)だった。若干注意だ。

もっとも、スピード調整の押しや、日柄調整のモミ合いはいつ起きても不思議ではない。事実、25日移動平均上方かい離率が5.05%だった11月25日の1万8381円に対して、2日の1万8426円では、かい離率4.00%だった。これは、どういうことかと言えば、日経平均は5営業日で44.86円の上昇で、ほとんどモミ合いだったが、かい離率は1.05%調整されたことになる。

このような日柄や値段の調整押しは、日銀ETF買いや出遅れファンドの買いに吸収されてしまい、「押し目待ちに押し目なし」となっている。売り物が出ると、日銀、GPIF、外国人投資家の強力三役が買うので、下げにくい構造になった。

マーケットを歪めているとの批判もあるが、マーケットと言うものは、その時ときにさまざまな参加者が現れ、姿が一定では無い。歪むも歪まずもなく、今の条件は素直に受け入れるべきだ。勿論、このトランプ相場もだ。これが正に現実なのだから。

さて、2日に発表された注目の米国の11月雇用統計は、非農業部門就業者数で前月比17万8000人増と、市場予想とほぼ一致、相場への影響は限定的だった。また、平均賃金が前月比0.1%減となっていたため、12月利上げ後の、連続利上げペースについてはハト派的な材料となった。

やはり当面の気になるイベントは4日のイタリアの国民投票(上院の権限を縮小する憲法改正)だ。もし否決されると、レンツィ首相は退陣する意向で、政情不安が一気に高まる。その後も続く欧州各国の選挙を踏まえて、金融市場の混乱を招きかねない。否決されたら、世界で最初に開く日本市場、とりわけ日銀の買いだけでは支えきれない1日になるかも知れない。今週の日経平均予想レンジは、1万7900円~1万8700円程度を予想する。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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