アマゾンが「人工知能」で先端にいられる秘密 「人工知能」と「クラウド」の深い関係とは?
ニューラルネットワーク(人間の脳の神経回路の仕組みを模したネットワークモデル)をベースとした機械学習/人工知能の技術はとにかく大量のコンピューティングリソースを消費する。しかも、利用するリソースを増やせば増やすほど精度が増すといった特徴があり、アプリケーション開発者は、できる限りたくさん使いたい。つまり、大量のリソースを用意しやすいクラウドは、こうした技術のプラットフォームとして抜群に相性がいいのである。
「グーグル、マイクロソフトなどの大手ネット企業は、こぞって同じような技術を提供している。アマゾンには何の違いがあるのか」と疑問に思うだろうが、その差は、まさにスケーラビリティ(規模の拡張性)である。アマゾンの自社プロダクトで使われてきた実績、ほかのAWSのサービスとの連携できる点もウリだろうが、スケーラビリティの面で先頭を走っている点こそが、最大のウリなのである。
今回の「re:Invent」で、アマゾンはラックマウントサーバー、ストレージデバイス、ネットワークデバイス、さらにはシリコンチップに至るまでハードウェアを自社で開発していることも明らかにした。既存の他社製品を組み合わせるのではなく根っこから作っている、ということだ。これも、他のクラウドベンダーにはない特徴といえるかもしれない。
顧客の要望に素早く応じるクラウド事業者
AWSは、今後も現在のペースで新サービスを提供し続けることを表明している。基本にあるのは「顧客の要望に応じて新サービスを素早く提供すること」「絶え間なく投資を続けて規模の拡大を続けること」だ。これが、冒頭の「AWSとは何者か」への回答ということになる。コンピュータの世界では規模が大きければ解決できることが多い。つまり、「規模は正義」ということを、素直に体現しているのがAWSなのである。
ただ、「顧客の要望に素早く応える」のは、米国をはじめとする英語圏での話。日本でアマゾンの人工知能の声を聞けるようになるのは、しばらく先になりそうだ。テキスト読み上げ技術「Amazon Polly」は日本語に対応しているものの、肝心の自然言語認識機能「Amazon Lex」が日本語に対応していないため、日本では本格的な利用ができないのだ。
3万2000人が参加した今回の「re:Invent」は米国中心のイベントではあるが、欧州各国をはじめ中国、韓国、インドネシアなどアジア圏の国々からの参加も目立ち、多くの言葉が飛び交っていた。多言語対応を、最初から織り込んで新サービスを開発できるようになれば、AWSへの評価はさらに高まるだろう。
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