「逃げ恥」で話題の家事代行は共働きを救うか 年30万円を使う男が明かす使い勝手と合理性

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これはビジネスの話に置き換えるとわかりやすい。企業のビジネスにかかわる要素はさまざまで、何から何までをすべて自前で提供できる企業など皆無だろう。うまくおカネを払って外部に委託するアウトソーシングは何も悪いことではない。

家事のアウトソーシングと書くと違和感(場合によっては嫌悪感)を覚える人もいるかもしれないが、保育園や学校は子育ての(一部)アウトソーシング、外食や総菜、弁当などの中食は料理のアウトソーシングと考えれば、なんら珍しくもない誰もが利用しているサービスでもある。

話は少しズレるが、家事を効率化するものとしては便利な家電もある。冷蔵庫や洗濯機のない家庭は無いと思うが、たとえば食器洗い機の普及率は全国平均で28.4%と3割を切る(2014年5月・パナソニック・三菱総研調べ)。共働き世帯がこれだけ増えていながら、仕事で疲れて帰った夫婦が食器を手洗いしているという状況を考えると、非効率な面は否めない。洗濯板で下着をゴシゴシ洗っている人は今時いないと思うが、食器の手洗いはそれに近い。

「食器洗い機を使うかどうかなんてどうでも良い話じゃないか」と言われてしまえばそれまでだが、使わない理由として上記の調査結果の一部に「家族が嫌がる」「夫や姑が反対するから」など、時代の変化に意識が追いついていない状況もうかがえる。家事代行もそれに近い扱いだ。

家事に限らず小学校でも共働きを前提としていない制度・行事などはまだまだ多い。たびたび話題になるPTA活動もそのひとつだろう。夫婦の環境の変化を見れば家事も子育ても「共働きシフト」へと早急に移行する段階に来ていることは間違いない。個人でできる範囲では、そのひとつが家事代行や食器洗い機の利用だろう。

時短勤務の減給分を丸ごと家事代行に

筆者がファイナンシャルプランナー(FP)として、外資系企業で高給を得ている女性の相談を受けた際には、産休からの復帰後に時短勤務を選択すると給料は減るうえに業務経験が減って将来の昇進やキャリアアップに悪影響が出かねない、という人がいた。

それならば、と「時短勤務で収入が減る額を家事代行やベビーシッターなどにすべてあててしまってフルタイムで復帰してはどうか?」と提案した。計算すると月に10万円を大きく超える額となったが、これは時短勤務を選べば得られないおカネだ。仕事を減らして家事を自分でやるか、家事を人に任せて仕事を選ぶか、という選択になる。

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