【産業天気図・工作機械】海外堅調だが国内弱含みで「曇り」。焦点は国内自動車の下期回復観測の成否
08年4~9月 | 08年10月~09年3月 |
ここ数年快進撃が続いた工作機械業界だが、今2008年度は「足踏み」の色彩が強まり、総じて「曇り」となりそうだ。
足踏みの主因は、米国サブプライム問題に端を発した世界経済の後退や円高による輸出鈍化、原材料高などだ。日本工作機械工業会によると足元、08年1~5月の受注累計額は6535億円で前年同期比1.0%増(速報ベース)。各業種で景況が悪化する中、「底堅い」と言えなくもないが、07年1~5月累計額が同比9.0%増だったことと比べると、今年に入ってのスピードダウンは否めない。
特に内需の軟調が目立つ。累計受注6535億円の内訳を見ると、外需が欧州と新興国を牽引役に3634億円と6.5%増だったのに対し、内需は逆に5.2%減の2901億円と振るわない。中でも金型向けの低迷が厳しい。
各社が立てた今期業績計画を見ても、上場最大手で業界2位のオークマ<6103>は前期比0.9%減収、9.2%営業減益と厳しく予想。業界3位の森精機製作所<6141>も1.1%減収、10.6%営業減益と、やはり慎重だ(業界首位ヤマザキマザックは非上場で実績も含め非開示)。
こうした中で期待されるのは、日工会の中村健一会長らが年初から折に触れて語っている主要ユーザー・自動車業界の国内投資の下期回復。これが実現するならば、大半の工作機械メーカーが恩恵を受け、前期に続く増収増益を維持できよう。
ただ、一方ではトヨタ自動車が今期設備投資5%減計画を表明するなど、まだ情勢は予断を許さない。国内自動車への期待が不発に終われば、仮に年間受注総額が07年度並みの高原状態をキープできたとしても、冒頭に挙げた逆風要因があるだけに、上記2社が予想した通り、売上高横ばい/利益減少のシナリオが現実味を増すだろう。また、相対的に外需のウエートが07年度よりも高まるため、海外開拓が進む大手数社と、出遅れている中堅以下とで、収益力の差が一層鮮明になると予想される。業界の視線は、従来以上に国内自動車業界の動向に注がれている。
【内田 史信記者】
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