崖っぷち女がスマート紳士に瞬殺されたワケ 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<18>
「いいですね!ぜひ食事に行きましょう。ここは少し緊張感がありますしね。とりあえず、出ましょうか」
松岡は再び輝かしい笑顔で、好反応を見せてくれた。杏子はたちまち小躍りしたい気分になる。素敵な男性と、早速ディナーデートにまで持ち込んだ自分を、思い切り褒め称えたかった。
彼はやはり会計をスムーズに済ませ、席を立った。
超絶スマート紳士・松岡に失神寸前?
背は180cm弱くらいだろうか。程よく引き締まった身体は姿勢が良く、マッキントッシュのトレンチコートを羽織った姿は、またしても杏子のドストライクの装いだった。
「仲通りのイルミネーションは、もう見られましたか?良ければ、少し歩いて見に行きませんか?あっ、失礼。ハイヒールでしたね。やはりタクシーを使いましょう」
そう言うと、松岡はサッとドアマンに合図し、杏子を完璧にエスコートしてタクシーに乗せた。彼のスマート過ぎる物腰に、杏子は心から感激してしまう。
“外銀エリート女”を、これほど上手にさり気なくレディ扱いのできる男は、探しても中々いないはずだ。
「松岡さんは、とても紳士な方ですね……」
「とんでもない!相手が杏子さんだから、僕も気が張ってるんですよ」
そして松岡は、控えめに微笑んだ。
タクシーという狭い空間で彼との距離が縮まると、今度はウッディなコロンの香りがふわりと漂う。杏子は、軽く失神してしまいそうな気分だった。
仲通りのイルミネーションは、想像以上に素晴らしかった。
丸の内勤務の杏子にとって、このイルミネーションは特に珍しくもない風物詩である。それに、独り身にはかえって辛いイベントの一つだった。
多くのカップルがこの美しい並木道をスマホ片手に歩く中、女一人で早歩きするほど惨めなことはない。自分の行く手を阻む男女には、舌打ちしたい気分になったことが何度もある。
しかし今、杏子は、この超絶スマートな松岡という男にエスコートされ、輝かしいイルミネーションを見上げている。
このライトに飾られた並木をうっとりと眺める自分の顔は、きっと少女のように可憐に違いないと、杏子はどっぷりと幸せな気分に浸った。
「ブリックスクエアの『グリルうかい』に席が取れました。杏子さん、お肉は好きですか?」
杏子がイルミネーションに目を奪われている間に、松岡はまたしても、手際よく店を手配してくれた。
「ええ、大好きです」
――松岡さん、あなたが……
杏子は煌めく並木道の中、完全に恋に落ちていた。
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