トヨタ「C-HR」のデザインは何が魅力的なのか 大胆でも煩雑に見えないスタイリングの秘密

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日本仕様のC-HRは、1.8リッターエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド2WDの標準グレードSと上級のG、1.2リッターターボエンジン4WDのS-TとG-Tという4グレード構成になる。アルミホイールはS/S-Tがシルバー塗装17インチ、G/G-Tが切削加工18インチとなり、G/G-TにはオプションでフルLEDヘッドランプ/リアコンビランプが用意される。

前述のプロトタイプ試乗会にはGとS-Tが用意された。筆者は実車を確認し、チーフデザイナーの伊澤和彦氏に話を伺いながら、なぜC-HRのデザインは魅力的に見えるのか、考えた。

メリハリのあるスタイリング

まず目に入るのは、やはり引き締まったボディに対して張り出したフェンダーの存在感だ。写真では迫力があったのに実車はイマイチだったというクルマもある中で、C-HRは数少ない例外だった。この造形のモチーフはダイヤモンドだという。なぜダイヤモンドなのか。伊澤氏は次のように解説した。

「タイヤを張り出させるアイデアとしてダイヤモンドを着想しました。通常のクルマのボディは上から見ると四角形ですが、これを45度回転すると、前後が尖った菱形になって、タイヤが4隅に張り出します。これがダイヤモンドモチーフの原点です」

タイヤの存在感も強烈だ。C-HRの全高は1550mmとクロスオーバーSUVとしては低めなのに対し、タイヤの高さは690mmもあり、全高の44.5%に達する。ライバルを上回るこの比率も存在感に貢献しているようだ。

フロントマスクは、トヨタが世界展開車種に採用している、「キーンルック」と名付けたシャープな目つきを導入しているが、キーンルックはC-HRのために準備されたのではないかと思えるほど決まっている。リアコンビランプもブーメラン型とすることで大胆に張り出している。

ここまでメリハリのあるスタイリングは、いざ作るとなると苦労するだろう。生産現場がすんなり受け入れたのか。伊澤氏に経緯を聞いた。

「開発の早い段階で関係各部署にデザインを紹介して、意匠の意図を説明するとともに協力を要請し、実現化のためのアイデアを議論していきました。試作型でもトライを繰り返しました。関係者にカッコ良さを感じてもらえた結果が実現につながったと認識しています」

リアデザイン

C-HRのスタイリングで感心したのは、大胆でありながら煩雑に見えないことだ。写真ではその理由が分からなかったが、実車を前にして納得した。

ひとつは線の少なさだ。近年の国産車のスタイリングは、細かい線を多用しがちだ。きめ細かい演出をしたいという気持ちがそうさせるのかもしれないが、走行中はこうした線はほとんど見えなくなり、逆に主張が乏しいと感じてしまうことが多い。

その点C-HRは、ボディサイドは大胆なフェンダーラインを除くとサイドウインドーの上と下の線だけであり、フロントマスクはやや線が多いものの、リアはコンビランプにつながるラインぐらいしかない。

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