(最終回)温暖化が変える「働く姿」~ビジネスパーソンのキャリアが変わる

●ビジネスを通じた地球環境への貢献は可能

 「働くこと」は人生で大きな位置を占めますが、ともすれば「組織の論理」に傾き、自分を見失うことがあります。それでいいのでしょうか。
私たちビジネスパーソンは、子どもとして、親として、そして一市民として、さまざまな役割を持っています。一市民としての視点で、自らのビジネスを見つめてほしいのです。
 温暖化問題を考えることは、時間と空間の広がりを持つ新しい視点を発想の中に組み込むことです。例えば、どんな影響を次の世代は受けるのか、気候の変化に苦しむアフリカの子どもたちにできることは何かなど、新しい気づきを得られるはずです。そして、市民という立場から考えれば「仕事の中で何かをしなければならない」という思いに、必ず突き動かされるでしょう。
 「話は分かった。けれども自分のできることは限られている」。私の呼びかけに、こんな感想を抱かれる人がいるかもしれません。本当にそうでしょうか。どんな仕事にも任せられた人の「裁量」の範囲があり、そこに自分の決断や価値観を織り込めます。そこに、温暖化、そして地球問題への対応を織り込むことができます。こうした小さな行動の積み重ねが、やがて世界を変えていきます。

 私は会社員の経歴の中で、満足感が得られる幸せな経歴を積むことができました。そして今は組織を離れ、国連機関のUNEP・FI(国連環境計画金融イニシアチブ)の特別顧問や、世界の金融やビジネスの流れを社会に伝える仕事をしています。これまでCSR(企業の社会的責任)、そして温暖化問題について考え続けたことが、今につながっています。
 ある時点で経験した仕事上の困難や悩みが、実は後で振り返ると次の仕事やさまざまな可能性を切り開いてきました。ビジネスパーソンの皆さんの温暖化への取り組みは、必ず人生の新しい展開につながるでしょう。
 「人生の本舞台は常に将来に在り」。政治家の尾崎行雄の言葉で、私はとても気に入っています。化石燃料を大量に使うというこれまでの経済の姿を嘆いてばかりはいられません。私たちがビジネスを通じて、未来にその姿を変えられることを信じたいと思います。
 今回でコラムは最終回です。読者の皆さまに、読んでいただいたことの感謝を申し上げます。そして、ビジネスを通じて温暖化を止め、満足を持てるビジネスキャリアを作り上げることを願っています。

末吉竹二郎(すえよし・たけじろう)
国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP・FI)特別顧問。日本カーボンオフセット代表理事。1945年1月、鹿児島県生まれ。
東京大学経済学部卒業後、三菱銀行入行。ニューヨーク支店長、同行取締役、東京三菱銀行信託会社(ニューヨーク)頭取、日興アセットマネジメント副社長などを歴任。日興アセット時代にUNEP・FIの運営委員会のメンバーに就任したのをきっかけに、この運動の支援に乗り出した。企業の社外取締役や社外監査役を務めるかたわら、環境問題や企業の社会的責任活動について各種審議会、講演、テレビなどを通じて啓蒙に努めている。
著書に『日本新生』(北星堂)、『カーボンリスク』(北星堂、共著)、『有害連鎖』(幻冬舎)がある。
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