また外部からの脅威に対し、女性は男性より敏感に反応する傾向がある。
1964年の選挙戦でリンドン・ジョンソン氏の陣営は、対立候補のバリー・ゴールドウォーター氏が米国を核戦争に追い込みかねないとするキャンペーン広告を放映。その一週間後の世論調査では、核戦争への懸念を抱く男性が45%だったのに対し、女性は53%だった。
2004年の大統領選では、再選されたジョージ・W・ブッシュ氏への女性の支持率が2000年の初当選時から30%上昇していた。政治アナリストはこの理由を、2001年9月の同時多発テロ事件を受け、白人の中間層に、テロや戦争の問題に敏感な「セキュリティー・ママ」が増えたからだと分析した。
中間選挙の流れが続いていた
2014年の中間選挙で共和党は、米国の脆弱性を強調して、過激派組織「イスラム国(IS)」が米国人殺害のためエボラ出血熱のまん延を狙ったと示唆する広告を放映した。この広告は専門家からすれば噴飯ものだったが効果を発揮。女性候補を中心に民主党が敗北する一因となった。この流れは、今回の大統領選でも続いていた。
そしてトランプ氏は、女性全般の不安を煽るのに成功したと言えよう。同氏は女性の共和党員の91%に支持されただけではなく、党派を超えて女性票を獲得した。同氏の女性蔑視発言はひどいものだったが、テロや犯罪、不法移民、経済への懸念に比べれば、性や人種による差別は重視されなかったようだ。
一方でクリントン氏は今回、12年のオバマ氏ほどには白人女性の支持を得ることができなかった。米国の政治文化では、女性候補者は複数の矛盾した期待に応えられないかぎり、トップに就くことは難しいといえる。
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