ついにバブル崩壊 “ショッピングセンターの申し子たち”の落日
大量出店の結末 テナント側も軒並み減速
若い女性向けの衣料品専門店ハニーズ。同社は04年以降、流行後追い型の売り切りファッションが受け、業績は右肩上がりの2ケタ成長を続けてきた。SCを中心に年間150以上の大量出店で、その勢いは天井知らずとさえ評された。
しかし、この1年で状況は一変。昨夏からは既存店売上高が前年比10%減にさえ届かない月が目立つようになり、08年5月期は上場来初の減益となる見通しだ。最大の要因は、オーバーストアによるSC間の競争激化にある。07年11月末787店のうち、売上高前年比が90%を下回った店舗は169店。うち約50店は近隣に新規SCができたことによる客数減。さらに約30店は、近隣SC内の自社店舗間の競合による落ち込みだったという。
これまでハニーズは、高い利益率を武器に、新規開業のSCにはその施設の立地や集客力を問うことなく、「とりあえず出店してきた」(江尻義久社長)。ほかの婦人服専門店の売上総利益率が50%台前半なのに対し、ハニーズは約58%。「ほかのテナントなら即退店という立地でも、うちの店はめったに赤字にはならないのが強みだった」(江尻社長)。実際、08年5月期に出店した約150店のうち約50店は、他テナントが退去した場所だった。
だが、江尻社長は「もはや今までのようなペースでは出店できない」と話す。江尻社長の下には今でも、他社に出店を断られたり、他社の退店後の穴埋めが決まらないデベロッパーの足が絶えない。それでも、09年5月期は年間出店数は20~30%抑制する方針だ。
ハニーズと並び、新規開業SCの常連だったポイント。こちらは08年2月期も増収増益を達成し、まだ順風満帆に見える。だが、これまで2ケタで伸びてきた営業利益は、わずか5・5%増へとブレーキがかかった。複数ブランドを使い分けていても、近隣SC間の競合による客数減は避けようがない。09年2月期も年間100店以上の出店ペースを維持する計画だが、「今期は出店先SCをかなり厳選し、売れないSCには出さない」(経営企画担当)と断言。退店数も例年より多めになる。
カジュアル専門店のライトオンの場合、状況はさらに厳しい。天候、景気、競合に消費者のジーンズ離れ--。“四重苦”が直撃し、07年9月から08年2月までの6カ月間の既存店売上高は前年比12・8%減と大きく落ち込んだ。これを受けて、08年8月期の出店は当初計画の60店から、急きょ47店へ下方修正。藤原政博社長は「ここまで環境が厳しくなれば、出店を控えざるをえない」と渋い顔でつぶやいた。