ついにバブル崩壊 “ショッピングセンターの申し子たち”の落日

 

どこへ行っても同じ店 建築コスト急騰も追い討ち

最大の要因はオーバーフロアだ。「都市部の駅周辺はともかく、郊外のSCは完全に飽和状態。この1年半で状況は様変わりした」と有力デベロッパー幹部。昨年11月には、大店立地法を含めたまちづくり三法が改正され、無秩序に広がった郊外での大型店開発に対し、再度規制を強化する方向に振り子が戻った。その結果、昨年、そして今年、SCの駆け込み出店が増加。移行期の駆け込み出店が、無用な競争激化を引き起こしているのだ。

大型化によって、1つのSCに入居するテナント数は150~160に上る。巨大な床を埋めるために、特定のテナントに人気が集中する。中でもユニクロやハニーズなど衣料品のテナントは粗利率が高く、デベロッパーとしても入居させやすい。その結果、「どのSCでも同じテナントが顔をそろえる金太郎アメになってしまった」(SCに詳しい月泉博シーズ代表)という。物販以外のサービステナントの強化などに各社知恵を絞るが、差別化は難しいのが現状だ。

デベロッパーにとっては、建築コスト急騰も直撃する。これまでSC戦略で成長を続けたイオン。同社は今春、09年以降の国内出店抑制を打ち出した。豊島正明専務執行役はその理由の一つとして、「建築コストの増加」を挙げる。材料費の高騰などで、SCの建築コストは「2年前に比べ6割近く上がった」(関係者)。豊島専務執行役は「これ以上高コストのSCを作り続ければ、将来に禍根を残す」とさえ断言する。

商業施設開発のコンサルを手掛けるジオアカマツには、昨年から既存SCの再建に関する相談が増えた。特に多いのが投資ファンドの開発SC。通常ファンドは3~5年内に物件の転売を狙うが、SC間の競争激化でそのもくろみが崩れ始めた。高瀬孝司社長は「今からではどうにも手を入れられず、お断りした案件は多い」と打ち明ける。こうしたSCの多くはテナントが埋まらず、虫食い状態のままでの営業を余儀なくされている。

だが、そこには別の事情も存在する。実はテナント側にとっても、SCへの大量出店を軸にした成長モデルに、亀裂が生じ始めているのだ。

 

 

 

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