紅茶のフォションが手掛けるホテルの全貌 仏最先端ライフスタイルを引っ提げ東京開業

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日本では高島屋と提携し、1972年に日本橋高島屋(東京都中央区)に初めての店舗を設立。1974年に紅茶の茶葉にリンゴの香りを加えたアップルティーが大ヒットを記録した。その後、フォションはフレーバーティーに力を入れるようになる。同社によれば、日本でのフォションブランドの売上高は約100億円、全世界の売上高の約4割を占める重要市場となっている。

老舗を世界ブランドに引き上げた手腕

日本でフォションの代名詞になった「アップルティー」

だが日本やフランスで知名度が高くても、2004年時点で世界に展開していたのはパリと、日本、韓国、中東など世界に15店を展開するのみだった。

そこでCEOに就任したデュクロ氏はブランドの近代化を推し進めた。Made in France とMade in Fauchonをひっかけた「Made in F」というコンセプトを展開、ピンクを大胆に取り入れた色調など、さまざまな改革を手掛けた。

またフランスの食文化を追求するため、フランス国内でチョコレートや茶葉の生産を手掛ける会社を買収。現在抱えるシェフは約500人、「フランス流の美食文化やトレンドセッターを体現している」(サミー氏)。

この10年余りの間に、東南アジアや中東、アフリカなど新興国でパートナーやフランチャイズ形式で展開。2016年では80店近くに拡大し、2017年には100店舗に達する見込みだ。

さらに近年はレストラン事業も強化中だ。「カフェ フォション」としてフォアグラやサーモンを使った本格的なレストランを展開。日本では食品販売やカフェの運営にとどまっているが、数年内には朝食から夕食まで提供するレストランの開設を検討している。

フランス流の高級食材販売店からレストラン事業に進出し、今回集大成といえるのがホテル事業への参入だ。海外のファッションブランドではアルマーニやブルガリがホテルを展開しているが、フォションのような会社がホテルを開業するのは珍しい。

ミシェル・デュクロCEOの息子で、ホテル事業を統括するサミー・ヴィッシェル氏(31歳)

その理由をサミー氏は「従来通り、食品やカフェだけだったら数十分という短時間の体験で終わってしまう。48時間、72時間を丸ごとフォションというブランドを味わって欲しい」と語る。

高級食品販売で培った老舗のブランド力を、レストランで展開し、そしてホテル事業へと参入し、ライフスタイルブランドへと転換していく狙いがありそうだ。

フォションは2017年に食品やカフェ、レストランなどの店舗を100店まで拡大させ、2030年には200店以上の出店を目指す。現在、米国や中国など市場規模の大きなエリアが手つかずとなっており、こうした地域でも本格的に展開を始める計画だ。ホテルについては2018年のパリを皮切りに、東京ほか名古屋や大阪、ドバイ、米ニューヨークなど2030年までに世界20カ所のホテルの開業を検討している。

かつてアップルティーで日本にフレーバーティー旋風を巻き起こしたフォション。再びホテルでも注目を集めることができるのか。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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