大人気!中国「80歳イケメンモデル」の破壊力 中国一ホットなおじいちゃんの原動力は?
「当時の中国人には、色とかスタイルの感覚がなかった。みんな黒か白、灰色、紺色の服を着ていた。軍服を着ている人もいた。私はふつうの人たちにファッション感覚を与えたかった。水着のショーもやったよ。女の子たちは最初、そんなのふしだらだと言って、モデルになるのを嫌がった。でも、私は強烈にプッシュした」。
王は49歳のとき、北京に引っ越した。中国の文化の中心地に住みたくて仕方がなかったのだ。目指すは「生ける彫刻」になること。それにおカネも必要だった。
体を鍛え始めたのはそれからだ。半裸か金属塗料を塗った体で、ロダンやカミーユ・クローデルの彫刻作品と「共演」できるくらいになりたかったのだ。これは王の妻・趙愛娟のアイデアだ。2人は結婚して48年になる。
1993年、王は北京で初めてファッションショーを企画したが、当局にセクシーすぎると目をつけられ、公共の場でのパフォーマンスは禁止されてしまった(しかしアングラで続けていたという)。
「(王のことを)本当にすばらしいと思う」と、パフォーマンスアーティストの肖魯(54)は言う。「私もボディアートはする。でも、一定の年齢を過ぎると、人間の能力は低下するものだ。なのに王は、彫刻のように見事な体と精神を持っている。体の内側から生へのパワーがあふれている。ロダンの彫刻が命を得たかのようだ」
大切なのは目標を持つこと
昨年、北京の798芸術区で行われた胡社光(オランダ王室御用達の中国人デザイナー)のファッションショーに、王はモデルとして出演。上半身裸で登場した王に、カルト的なファンが生まれた。十代のアイドルを意味する「小鮮肉」をもじって、王を「老鮮肉」と呼ぶファンもいる。
もちろん、これからの中国で「老鮮肉」が「小鮮肉」に取って代わる存在になるわけではないだろう。だが、急速に高齢化が進む中国で、王の肉体美が模範となったのは間違いない。もともと中国では、男性の魅力が強調されることはなかった。
「人は望むだけ何度でも人生を変えられる」と王は言う。そのためには目標を持つことが大切だ。だから王は、常に新しいことを学んでいる。「精神が健全な人間は、目標がはっきりしている。たとえば野菜売りは、朝起きたとき、ちゃんと目標があって、懸命に働く。そして目標を達成すると、充実感を得る」。
王は演技、モデル活動、運動、アートなど、いろいろなことから充実感を得ている。近くそれにパラシュートが加わる予定だ。
(執筆:Didi Kirsten Tatlow記者、翻訳:藤原朝子)
© 2016 New York Times News Service
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