スティール反対で大揺れ 役員に“欠員”発生 アデランスの窮地

スティール反対で大揺れ 役員に“欠員”発生 アデランスの窮地

社長をはじめ7人の役員再任が否決--。米投資ファンドのスティール・パートナーズが筆頭株主となっているアデランスホールディングスの株主総会は、前代未聞の結末となった。

5月29日に開かれた総会で選任が可決された役員は、新任の社外取締役候補2人だけ。会社法で取締役会設置会社の取締役数は「3人以上」と規定されており、アデランスは“欠員”が生じる非常事態に陥った。そこで総会後、同法に基づき「役員としての権利義務を有する」者として、再任が否決された7人と5月退任予定だった2人を、可決された2人に加えて、合計11人の“暫定”経営体制として公表する羽目になった。

「大手企業でも定款変更の特別決議の際、外国人投資家の議決権行使を受けて否決されるケースはある。ただ、投資ファンド中心の反対で役員選任の決議が否決されたのは初めてでは」(大和総研・経営戦略研究部の鈴木裕主任研究員)。こうした非常事態をアデランスが認識したのは、スティールからの再任反対票を含め、議決権行使書の送付が集中する株主総会の開催直前だった。当日に出席する株主の議決権数次第で可決される可能性も残されていたが、「株主の出席率が期待していたほど増えなかった」(アデランス広報IR室)。決議直前の出席状況で過半数の反対が確実となり、会社側の一縷(いちる)の望みも絶たれた。

役員再任否決には業績低迷も影響

昨年、スティールは、アデランスのほかブラザー工業といった投資先の企業に対して、買収防衛策廃止や増配の株主提案を突き付けるなどして、株主総会シーズン中にひときわ注目を集めた。打って変わって今年は目立った株主提案を行わず、鳴りを潜めたかのように見えた。

しかし昨年の総会以降、複数の投資先に行っていた提言や要求の中で、アデランスに対する要求だけは特段きつかった。今年2月、スティールは業績不振などを理由に「現経営陣の経営能力をこれ以上信頼し続けることはできない」と経営刷新を要求。スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドの代表を取締役に指名すべきなどと、三つの提言を行った。一方のアデランスはこれを拒否。独自の中期経営計画を打ち出したが、スティール側はこの動きに対し役員再任に反対の議決権行使に動いた。

アデランスは昨年の買収防衛策導入の際、スティールから防衛策廃止の株主提案を受けたが、議決権ベースで54%の賛成という僅差の可決でしのいだ。当時、スティールの保有比率は24・69%。だが今年2月末時点では26・74%と、1年で比率を2%強引き上げている。数字だけ見るとわずかだが、今回の株主総会での議決権行使比率は約85%であり、過半(43%)を取る上で、一株主が約27%を保有する意味は大きい。

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