なぜ情報鎖国・北朝鮮で携帯が増えている? わずか1年強で保有台数が2倍、200万台を突破
携帯販売でもガッポリ儲ける北朝鮮当局
平壌を訪れると、老若男女、市民の誰もが携帯電話を手にし、通話やメッセージサービスを楽しんでいるのがわかる。端末は主に中国から輸入されたものが多いが、北朝鮮ブランドを付けた端末もある。中国の携帯電話メーカー関係者は、「2013年中に中国から北朝鮮に50万台を輸出する計画で、そのうち10万台はスマートフォン」と打ち明ける。それだけ、携帯電話への需要が高まっているようだ。
では、実際に北朝鮮の人々は携帯電話でどんなサービスを楽しんでいるのか。端末はいわゆる「ガラケー」が多いが、音声通話やメッセージ送受信、ウェブブラウジング、さらにはゲームや動画撮影も楽しめる。端末価格は、最近では100~250米ドル(約9700~2万5000円弱)で販売されているのが主流のようだ。通話料は電話局や郵便局で納付し、先払いの形で、北朝鮮ウォン5000ウォン(実勢レートで1ドル=8000ウォン)程度を支払い、その後例えば「5ユーロ」(約630円)や「10ユーロ」(約1260円)とチャージして利用されているという。端末の販売では、北朝鮮当局もこれまで、少なくとも2億米ドル以上の収益を上げているという話も出ており、いずれにしろ携帯電話事業は好調のようだ。
利用者の急増で、北朝鮮では携帯電話の関連事業も誕生している。韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「統一ニュース」に寄稿した韓国・国民大学の鄭昌鉉兼任教授によれば、平壌で開かれる国家産業美術展示会などの展示会で、多種多様なデザインの携帯電話が出品され、子ども向け、老人向けといった機種まで北朝鮮で製作されているという。これまで中国から製品を輸入、あるいは部品を輸入して北朝鮮国内で組み立てた後、「平壌」「柳京」といった自主ブランドをつけて製品を販売していたが、「中国製品などの輸入で外貨の流出を防ぐため、自主製作の端末開発を強化しようとする動き」と鄭教授は指摘している。
また、携帯電話の紛失や破損に対する保険商品も登場したようだ。なかには、携帯電話端末の価格の5%分を保険料として出せば、1年間補償するというもの。保険料は機種によって5~11米ドル程度のようだ。また、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関誌『朝鮮新報』によれば、携帯電話向けアプリケーションが開発され、道路案内ソフトや「家庭主婦手帳」と呼ばれる料理のレシピと家計簿が一体化したようなソフトが人気を得ているという。
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