初公開、これが「ホーム転落事故」の多い駅だ 池袋、天神、本川越、梅田、阿部野橋の共通点
駅別の事故件数に続き、路線別の事故件数についても分析してみた。事故の多い順に並べると、西武池袋線16件、JR中央線、西鉄天神大牟田線が各13件、JR京浜東北線、西武新宿線、東武伊勢崎線が各12件といった状況だ。JR山手線でも9件起きているが、これらはホームドア未設置駅を中心に発生している。全駅ホームドア設置済の東京メトロ丸ノ内線はホーム転落事故が1件も起きていない。
ラッシュ時も昼間も転落件数は変わらず
全日本視覚障害者協議会まちづくり委員会が発表したデータはそれぞれの事故の発生日時も記載されている。そこで、事故がどの時間帯に発生したかについても調べてみた。その結果、もっとも多いのは9時台で38件。次いで13時台28件、8時台と16時台が27件、12時台が26件、7時台と11時台と17時台が25件という結果になった。早朝と深夜を除けば、どの時間帯もほぼ20件以上となっていた。一般的な利用動向から見れば、人の流れは朝夕の通勤時間帯が多く昼間は比較的空いているはずだが、この数字からはそのような傾向はみられなかった。
たとえば通勤ラッシュの時間帯に事故が多ければ人の流れが問題になっていると推測できるし、昼間の時間帯に事故が多ければ、人が少ないため視覚障害者に声をかけられないという可能性が考えられる。この結果について、山城氏は、「視覚障害者は普段使い慣れている駅であっても、ほんのちょっと何かが違うだけで転落事故を起こす。その点ではラッシュ時も閑散時間帯でも関係ない」と語っている。
このような駅別の事故が一覧化されたことに対し、ある鉄道事業者の広報担当者は、「他社と比較したことがないので、自社の路線のホーム転落事故が多いのか少ないのかわからない」と話した。ホームドアや内方線付き点状ブロックの設置を急ぐことは当然だが、こうしたデータを使って各社で議論してみることも事故防止の一助になるのではないだろうか。
次ページ以降は転落事故が多かった路線をまとめた表を掲載する。
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