相手の心をつかむプレゼンが「13分」なワケ 頑張って「説得する」ような話し方は3流

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経営コンサルタントは、経営の問題点を切れ味鋭く、明快に説明するのが仕事だと思われているらしい。しかし、事実は異なる。

「説得」するのではなく「納得」してもらう

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経営コンサルタントは、新聞記者でもなければ野党の議員でもない。経営の問題点をドヤ顔で舌鋒鋭く指摘しようものなら、おカネを払っているクライアントが不愉快になるだけだ。

「何を偉そうに。コンサルタント風情に、そんなことを言われる筋合いはない!」と逆ギレされかねない。

経験3、4年目くらいの若手コンサルタントは、その道理をわかっていないケースが多い。だから、必死になって問題点を洗い出して説得にかかろうとする。その熱心さは買うが、私に言わせるとそれは三文の値打ちもない。単に設問に対する答案として優秀なだけであり、コンサルティングとしては落第だ。クライアントが不愉快になり、やる気をなくしたら、その提案書は机の肥やしになるだけである。

コンサルタントがいかにすばらしい提案をしたとしても、クライアントがそのとおりに実践する気になってくれないと、それこそ絵に描いた餅に終わってしまう。

クライアントを説得しようとするのではなく、「納得」してくれるように仕向けることが大切なのだ。その出発点は、やはりクライアントの話をよく聞くことにある。

「組織をどう変えたいですか?」「そのためには何がいりますか?」と話を引き出しながら、納得してくれる提案の落としどころを探っていく。

「薄々そう感じていたけれど、やっぱりそうだよな。それくらい大胆にやらないと国際競争には勝てないよな」とクライアントに自ら気づいて納得してもらう。コンサルタントに説得されて、しぶしぶ取り組んだ経営改革が成功した試しはない。自分たちが納得して推し進める改革しか成功しないのである。

読者のみなさんは、向上心があって、より高みを目指そうとする人が多いだろう。そういう人が、よりレベルの高い一流の人たちと相対することを想定するならば、教養の土台は欠かせない。

教養を養うのは読書であり、他の人の話をよく聞くことにある。教養を育むインプットの広さと深さこそが、アウトプットである話し方や伝え方の善し悪しを決める。

また、アウトプットが向上すれば、人から多くの話が聞けてインプットがさらに充実する。

以上いくつか筆者が考えるプレゼンのコツをご紹介した。なんらか参考になればと思う。

堀 紘一
ほり こういち / Kouichi Hori

1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞経済部を経て、73年から三菱商事に勤務。ハーバード・ビジネススクールでMBA with High Distinction(Baker Scholar)を日本人として初めて取得後、ボストン コンサルティング グループで経営戦略策定を支援。89年より同社代表取締役社長。2000年6月、ベンチャー企業のコンサルティングを行うドリームインキュベータを設立、代表取締役社長に就任。05年9月、同社を東証1部に上場させる。著書多数。

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