「りゅうちぇる&GENKING」は、欧米にもいる! ジェンダーレス男子とのブランドコラボ活況

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L’Oréal Paris #YoursTruly campaign

「多様性を擁護するのは、美容業界では目新しいことではない」と、オグルヴィでLGBTに特化したブランドコンサルタント部門を率いるサム・ピアース氏は言う。

「現在、ブランドは10年前には想像もできなかったような形で、LGBTの人々をブランドアンバサダーとして起用している。論争がなくなったわけではないが、LGBTインフルエンサーが『建前』として起用されることは少なくなってきた」と、ピアース氏。

抵抗勢力

誰もがこの流行に乗っているわけではない。ファッションメディアのハバスラックスハブでのグローバルマネージングディレクターを務めるタミー・スマルダース氏によると、コスメ企業は誰がもっとも進歩的で革新的かを競い合うゲームに囚われていて、それが称賛と広告枠を獲得できるか否かの指標になっているという。男性インフルエンサーに関しては、ジェームズ・チャールズ氏のようなスポークスパーソンが増えることはないというのがスマルダース氏の予測だ。美容用品の消費者が求めているのは真似できる人であり、「男性はその役割に適任ではない」と、同氏は言う。

「私の調査では、外見や身だしなみに関心をもつ男性は増えているけれども、メイクにまでは及んでいない。メイクをする男性は全体からすればごくわずかだ」

化粧品を買い、メイクをする男性が実際にどれだけいるのかは明らかではない。グルーミング用品市場の活況(と、男性の脱毛ブーム)は多くのデータが裏付けているが、メイクに挑戦する男性たちについては情報不足だ。しかし、男性向け商品は存在するし、MMUKなど男性向けブランドもある(韓国はこの分野の先進国だ)。

ビューティーボーイという名でも知られるジェイク=ジェイミー氏は、バイラルで広まった「#MakeupIsGenderless(メイクに性別はない)」キャンペーンを仕掛けたブロガーだ。同氏によると、女性だけをフィーチャーした広告のせいで、多くの男性は化粧品を使い、メイクをして公の場に出ることについて、肩身の狭い思いをしているという。

「いまは2016年で、我々はモダンな世界に生きている。メイクをしている男性は大勢いて、長年それを続けている。でも会員制秘密クラブのように、誰もが極秘事項扱いしているんだ!」

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