牛丼大手、「トッピング」戦略にシフト 調理の手間かけず、客単価をアップ

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ただ、ゼンショーは今年1月、主力の牛丼事業のトップに、子会社でラーメンチェーンの経営に当たっていた村上竹彦氏を抜擢し、すでに牛丼事業の戦略見直しを進めている。

すき家も夏頃からトッピングメニューを拡充予定

その後、すき家では、まぐろユッケ丼や豚かばやき丼といったメニューの販売を打ち切り、牛丼では13品を8品に、牛丼以外のどんぶりでも6品を3品に減らすなど、全体で34品あったメニューを25品まで3割絞り込んだ。メニュー見直しを進める中で、すき家もこの夏頃からトッピングメニューを拡充し、大々的なキャンペーンを実施する予定だ。

さらに近年は年間150店近い積極出店を続けてきたために、手薄になりがちだったエリアマネージャーの担当地域を再編。全店に目が行き渡るように体制を立て直し、接客力などサービス面での向上にも全力を注ぐ。

低価格戦争だけでは、業績の改善を追求しにくくなった牛丼3社。松屋とすき家が4月に実施した期間限定値下げも、それだけでは大きな成果には直結しなかったようだ。

牛丼に詳しい業界関係者は、「牛丼は恒常的に既存店の売上高が前年を下回っている。吉野家も値下げの効果は期待ほどではない。もはや牛丼はオーバーストア状態で、構造的な問題に直面している」と指摘する。はたして牛丼大手が力を入れようとしているトッピング戦略は打開策のひとつになりうるのか。
 

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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